久保 雅裕
伊勢丹プレスプレビューが変わった
プレゼンテーションするTOKYO解放区の寺澤バイヤー(左)
伊勢丹ウィメンズのプレスプレビューが、1月11日に表参道のイベントスペースで開かれた。従来のセクションごとのサンプル展示とバイヤーや広報担当による説明を聞きながら回るという趣向から、パワポ画面を見せながらの各セクションのバイヤーによるプレゼンテーションスタイルへと大きく変更された。
昨年9月に開かれたデニム・アクト・ナイト
「TOKYO解放区」の寺澤真理バイヤーは、売り場のコンセプトと自らキュレーター的な役割を果たしてきた年間30本以上の企画の一部を紹介した。「グローバルクローゼット」の松島大知バイヤーは、学生団体、デニムメーカーと協業し、コンテストやクラブイベントを実施してきた「DENIM ACT NIGHT」の紹介と今年の企画への媒体の参加を募った。「インターナショナルクリエーターズ/リスタイル・プラス」の神谷将太バイヤーは、「ANTI EASY」と題したリメークの取り組みについて、サンプルを見せながら紹介。「ストロベリー」バイヤーの城陽太バイヤーは、「小柄」マーケットの分析を披露し、ハッシュタグ「おちびコーデ」「おちびの輪」などの活用でメディアとのコラボレーションを提案した。それぞれに、まるで社内プレゼンをしているかのような熱のこもった説明だった。
プレゼンテーションするストロベリーの城バイヤー(左)
さて、ここでふと「ネット検索と新聞の一覧性の違い」というワードが頭に浮かんだ。筆者は長らく新聞業界に身を置いていたせいか、新聞の効用について、いつも自問自答、あるいはさまざまな同業者と議論することも多いのだが、「双方、必要だよね」という事で落ち着くことが多かったのが、ここ15年くらいのような気がする。だが、直近2~3年で大きく変わったのは、電車の中で新聞を広げる人をほとんど見かけなくなったという事以上に、意識として「新聞を広げづらくなった」と感じていることだ。もちろん新聞好きのマナーとして、四つに折り畳んで読むのだが、やはり段組みの関係で折り返したり、ひっくり返したりと一時的に広げざるを得ないことも多い。もちろん満員電車では、難しいのだが、最近、空いている電車でも隣に座っている人から「迷惑そうな雰囲気」を感じてしまうのだ。マイノリティーに対する忌避感のようなものを。
話を戻そう。今回の伊勢丹のプレゼンテーションは、新聞を見る(あえて読むとは言わない)ような感覚になったということなのだ。いつもなら興味のあるセクションに行き、説明を聞きつつも、こちらが知りたいことを質問する「プル型」、つまりネット検索に近い感覚で引き出していた。だが今回は、色々な情報が羅列的に入ってくるため、興味を持っていなかったセクションの思いも寄らない情報をゲットすることができた。これはざっと眺める新聞の一覧性にも似ていると思った次第だ。欲を言えば、自分にもう少し時間があれば、さらに質問をして「プル型」の深め方ができたはずだが、如何せん、時間が無かった。これは反省することしきり(^-^;。次回はもう少し余裕を持って伺うこととしよう。
ということで、「プッシュ型」一覧性の打ち出しは、受け手の心と時間に余裕のある時に、最大限の効果を発揮する。今の自分には、それが無いのだと気づき、今年の自分の「働き方改革」の課題にしようと心に決めた。
デニム・アクト・ナイトでは、様々なワークショップ、ライブも開かれた