久保 雅裕

2019 17 Jun

4年振りのパリ合同ポップアップストア開催

2015年11月、あの忌まわしいパリ同時多発テロ事件。ちょうどその年の9月、ファッションウィーク中に開催した日本ブランドの合同ポップアップストア「第5回ル・ソレイユ・ルヴァン(Le Soleil Levant)」を終え、翌年3月開催場所のマレ地区のギャラリーも予約し、参加を希望するブランドが続々と集まってきているところだった。悩みに悩んだ末に、「販売スタッフの安全確保」を考えて休止するという結論に至った。その後、パリからは観光客が去り、小売業に与えたダメージは大きいものがあったのは言うまでもない。しかしパリという都市は、B2Bでは一瞬の停滞があったものの、引き続き厳然たるプラットフォームとして、他のファッション都市の凋落をよそに、その地位を保っているから、たいしたものだ。

前置きが長くなったが、この3年余りの間にも、日本国内での合同展「ソレイユトーキョー(SOLEIL TOKYO)」を継続し、トラノイへの合同出展なども経る中で、新たなパリとのネットワークが生まれてきた。今回は、パリでショールームを営む「ランデブー(RENDEZ-VOO)」とのコラボレーションで、フォーラム・デアール内にあるセレクトショップ「レクセプション(L’EXCEPTION)」にて、アジアデザイナー16ブランドを集めたポップアップストア「FRENCH KISS ASIA」を開催し、ソレイユから5ブランドを送り込むこととなった。4年振りの開催に感慨一入だが、6月13日のレセプションパーティーには大勢のプレス関係者などが訪れ、30日までの会期をスタートさせた。

日本からは、前半の14〜23日にレディスウェアの「タージュ(TAGE)」、ユニセックスウェア・アクセサリーの「ネニュファール(N’enuphar)」、コサージュの「ル・シュマン(le chemin)」、コスチュームジュエリーの「アミティエ・クレディール(Amitie CREDIR)」が、後半の24〜30日にレザーグッズの「デュレン(DUREN)」が参加することになった。

TAGE

N'enuphar

le chemin

Amitie CREDIR

DUREN

他の参加国はインドネシア、韓国、ベトナム、シンガポール、中国。

またランデブーと一致した点は、「既存のトレードショーが限界にきており、何か新しいカタチを模索する必要がある」という認識だった。彼らは既にB2BとB2Cを兼ねたイベント開催の実績もあり、40ブランドで3000人を集める事に成功している。

今回の取り組みは、そんな熱心なランデブーのスタッフとの意気投合から始まり、小さなデザイナー達のデベロップに共に取り組む同志的な連帯感からステキな結果が生まれた。国境や国籍を超えて、共感する者同士で紡ぐプロジェクトの大切さ、愛おしさ。そんなものを感じた貴重な経験だった。さらに発展させるべく、日仏アジアのネットワークで次の布石を打っていきたい。