久保 雅裕

2018 08 Mar

「ミュベール」デザイナーの反撃

右からミュベールの中山路子さん、筆者、アシスタントの石田紗英子さん

昨年8月からスタートしたSMART USENのアプリラジオ番組「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」も今年3月で8回目のゲストを迎える。「ミュベール」のデザイナー、中山路子さんだ。3月9日からオンエアとなるので、是非とも聴いていただきたい。

さて、その中山さんとのトークの中で、とても「芯の強い」人だと思う瞬間があった。それは、ほんわかした人柄とトークの最中、私が「業界内で売れないとかいう言葉が多く聞かれますが」と切り出した時のことだ。

中山さんはきっぱりと「売れるとか売れないとか、そういうことを考えて仕事してきたことは一度も無く、そう考えること自体がダメなのではないか」という趣旨の話を、今までのほんわかテンションと打って変わって、やや強めの口調でおっしゃられたのだ。ある意味、「鳩が豆鉄砲を食ったよう」とはこの事で、柔らかい中山さんの口調からは想像のつかない反撃??だった。でも本当は、「そう言うだろうな」と思っていた自分がありつつ、そして愚問だと分かりつつ、あえて聞いてみたかったので振ったのだが、案の定、答えは期待通りだったのだ。

すなわち、人々を幸せにするというプリミティブではあるが、ファッション本来の目的を見定めていれば、自ずとどのような物を、どのような環境で、どのような人たちが、どのような態度で提示していけば良いのか、クリアになるという話で、そこに一点の曇りもなければ、必ず支持してくれる人たちが居るはずという事なのだ。

それを忘れて、売ることを目的とした瞬間、それは曇った視界の中で、見つからない解を探し続けることになると中山さんは分かっているのだと思った。大手アパレルでの経験の中に、もしかしたら、そんな一時があったのかもしれないが、今度お会いした時にでも聞いてみよう。

毎回、業界の魅力的な方々をお呼びして、その人となりを掘り下げるこの番組。貴重な時間を戴いていることに感謝しつつ、さて、次はどなたにしようかな?こんな人の話が聴きたいという要望があれば、連絡くださいませ~。