久保 雅裕

2018 30 Jan

セカンドセッションが凋落する日

2018年1月24日、「Acne Studios」 のウィメンズ18-19年秋冬ショーを観てきた。先週メンズコレクションを見たばかりで、18年春夏オートクチュールコレクションの最中である。メンズとウィメンズのプレゼン時期の統合や企画・生産サイクルの計画化、デリバリーの早期化といった要素が重なって、近年このプレコレシーズンの買付比率が高まっている事が言われて久しいが、どうも、それが決定的になりそうな気配なのだ。

それは今回、主要なトレードショーのオーガナイザーが、セカンドセッションの比重を落とし、プレコレの時期に重点を移すというような趣旨の発言をしていたからだ。

そして奇しくも「フーズネクスト/プルミエールクラス」を主催するWSNデベロップモンが6月23~25日に新しいトレードショー「ノン・ド・コード・ジュン」を開催すると発表した。場所は「パリ・シュールモード」と同じコンコルド広場のテント会場となり、150社程度の規模となるらしい。

こうした動きは、今に始まったことではない。かつてフーズネクストは、7月に会期を早め、その後出展者からのクレームや時期尚早との声などもあり、またメゾン・エ・オブジェと同時期開催のメリットも小さくないため、現在の9月初旬開催に落ち着いた経緯がある。しかし、機が熟したと見たのか、遂に6月新展開催へと舵を切った形になる。

さて、問題は日本ブランド勢の動きだ。現在ウィメンズの主力はセカンドセッションに集中しており、ジェトロの支援を得て20社以上が出展してきている。しかも実際の日本市場における受注シーズンは、東京コレクションを挟んで3週間程度がピークとなっており、セカンドセッションにサンプルを間に合わせるのがやっとというブランドも少なくない。

国内市場のみのサイクルに合わせている限り、世界との乖離が進む一方なのだ。すでに1月プレコレ時期にサンプルアップして持ってきている日本企業に話を聞くと「最初は大変だが、一度やってしまえば、あとはそのサイクルを維持するだけだから」と頼もしい答えが帰ってくる。

東京コレクション時期の早期化は何度も提起されてはいるが実現には程遠い。3月下旬からNY前の2月上旬へ、10月下旬から9月上旬へと会期を移すことで、国内生地屋とリテールの協力も得ながら、世界進出のカレンダーに乗っかっていく方策がとられることを期待するしかないのだが。

さて、「セカンドセッションが凋落する日」などと些か大袈裟なタイトルを付けてしまったが、この問題の結論は早晩出るかもしれない。つまりはパリコレが3月初旬から動かない限り、セカンドセッションもそれなりの集客を保つのではという見方がある。何といってもパリコレは世界最大級のプラットフォームなのだから、その威力にあやかりたいと思うのも無理はない。今年3月と10月のセカンドセッションとショールームの状況を見つつ、判断していくのが賢明だろう。

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