久保 雅裕

2018 25 Jan

メゾンに飲み込まれるファッションアイテム

パリメンズファッションウイーク、そしてレディスファーストセッションと時期を同じくして、ノール見本市会場では、インテリアライフスタイルの大型見本市「メゾン・エ・オブジェ」(メゾン)が開かれた。筆者はメンズのトレードショーとショールーム、ファーストセッションの見本市「フーズネクスト/プルミエールクラス」を終えた後、最終日(2018年1月23日)にメゾンを訪れたのだが、ファッションのトレードショーがこの間厳しそうに見える中、メゾンがそれなりに隆盛を誇っている状況に少しの戸惑いを感じている。ことほど左様にファッションはしんどいのか?。

さてメゾンにウェアは、まだそれほど多くはない。だがアクセサリーやバッグなど服飾雑貨の出展者が目に見えて増えている。圧倒的な来場者数に引き寄せられる形で、ファッション見本市を離れたメーカーが挙ってメゾンに鞍替えしている傾向が垣間見える。

中でも秀逸なゾーニングが、「クラフト・メティエダール」だ。クラフト系のグッズを大物、小物に関わらず集めて、アートの領域で展示している。その中でもアクセサリーを集積したコーナーには、かつてセカンドセッションのプルミエールクラスに出ていたフランスのクリエーターの姿もあった。

ファッション専業小売りの縮小とライフスタイル市場へのファッションアイテムの広がりは、人々の購買の在り方の変化を映しているとしか思えない。インテリア小物など生活を豊かにするちょっとした買い物の最中に見つけた、どこかアーティスティックでクラフト感のあるアクセサリーや服飾雑貨が、手に取りやすく、消費を刺激する環境になっているようだ。

さて、日本からは100社以上が出展していると言われ、我が古巣、繊研新聞社パリ支局時代に作った 「THE SENKEN」メゾン号も引き続きブースで配布されていた。政府や自治体の補助金絡みも数多くありそうで、お金の掛け方もこちらの方がファッションより一枚も二枚も上手なように思えてならない。

日本ファッションのプレゼンスを高める取り組みとは何なのか、どのようにすれば、インパクトを与えられるのか。課題を突き付けられた気分で、曇天のヴイルパントをあとにした。