久保 雅裕
コロナショックはパラダイムシフトを促す
金曜日から公開された映画『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』
コロナショック3連稿。
先週いただいたカネコヒデシさんの『TYOマガジン』では新型コロナウィルスを「コロナッチ」と表現していた。私は「クボッチ」なのでウィルスみたいなもんか?というか「フィオルッチ」に「モニカ・ベルッチ」と、やはりイタリア起源か?などとアホな話はさておき、やっと最初に宣言した本編にたどり着いた。コロナ禍によりマインドセットが変わり、パラダイムシフトが起こるという話。
あの東日本大震災の後、明らかに消費マインドが変わったのを覚えていらっしゃる方も多いだろう。そう「絆消費=共感消費」だ。多くの家族や友人を失い、またそういう話や映像を目の当たりにして、「大切な人たちと過ごす時間消費が最も愛おしいもの」と気付かされたことによるものだ。だが、「喉元過ぎれば…」ではないが、やはり記憶も薄れがちになり、元の状態に戻ったとまでは言わないが、経済的豊かさとの狭間でマインドセット、つまりは大量消費社会の固定的な考え方に収れんされそうになる雰囲気も「無きにしも非ず」なところである。サステイナブル元年(日本の話)と言われた昨年、そうしたマインドセットに対する揺り戻しもあり、消費の在り方をもう一度改め直す機会も増えてきていた。3月27日には、映画『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ』が公開されたが、大量消費社会に警告を発し、「大切な人たちと過ごす時間を大事に」と訴える彼のメッセージは、マインドセットが変わりそうなこの時期、時宜にかなったと言えなくもない。
さて、このコロナ禍で推進されたテレワーク、リモートワークや時差出勤、あるいは職場託児所の設置などで恐らく多くの人たちが感じたことは、「やればできるんじゃない?」「もしかしたら、これを仕事のスタンダードスタイルにできるのでは」「電車が混んでいないので快適」「家族と一緒に居ながら、あるいは子供の様子も見ながら仕事するという形は、とても人間的」といったポジティブな部分も多かったのではなかろうか。
そうなのだ。ムヒカ大統領ほど自然体で生きることは無理としても、今まで日本人が、がむしゃらに突っ走ってきた仕事の在り様や経済合理性優先に「完全な疑問符」が付いたという事。そしてその事によってマインドセットされていた意識に確実に変化が生まれているという事なのだ。
さらに言うなら、この変化が最終的に社会のパラダイムシフト、すなわち真の「働き方改革」をもたらす可能性があるという事だ。仕事のスタイルを改め、家族や友人との時間を大切にすることを優先し、結果として社会のインフラが彼らをサポートするように変化していくという事だ。そこには5Gの力もあるだろうし、様々なデジタルプラットフォームの進展も後押しすることだろう。
日本は、今まさにオーバーシュート、ロックダウンの危機と戦っている真只中で、欧州各国の推移を近未来のお手本(良し悪しも含めて)としつつ、乗り越えていかねばならない時期にあり、前述のような悠長なことを言っている場合ではないが、長い目で見た時に、このコロナ禍が社会のマインドセット・チェンジとパラダイムシフトにドライブを掛けたという結果になるのではなかろうかと、ふと思った筆者であった。
最後に、この国の指導者は、相変わらず経済合理性という名の財界・大企業優遇しか頭に無いから、国民の生命と暮らし、生活を守るという政策を打ち出せず、記者会見も歯切れが悪すぎる。ドイツの90兆円という財政出動と比べるなら、100兆円以上の取り組みが必要だ。その大半を、まずは困窮している中小企業や個人に対して、「ご安心ください。政府が全面的に補償しますから」と宣言するだけで、「信頼」という絆で国民の動きを一つにまとめ、ウィルスとの戦いに挑めるのではなかろうか。また「最後に一言」が長すぎた(^-^;