久保 雅裕

2020 28 Aug

デジタルの限界を痛感したバイヤーたち

左からバーニーズ・中箸氏、ビームス・服部氏、エストネーション・鷲頭氏(photo/遠藤純)

ロンドン、パリ、ミラノとメンズのコレクションがすべてデジタルに置き換わった2021年春夏シーズン。パリ・オートクチュールも、もちろんデジタルだった。
夏至の日の「フェット・ド・ラ・ミュージック(パリ音楽祭)」を間近で見られないのは、十何年振りの事か?
さて今般、USEN『encoremode(アンコールモード)』で、「どう見た?メンズデジタルコレクション」と題して鼎談を行った。参加者はインターナショナルギャラリービームスの服部隆メンズディレクター、バーニーズニューヨークの中箸充男アシスタントディレクター兼メンズマネージャー、サザビーリーグ・エストネーションカンパニーの鷲頭直樹メンズディレクターの3名だ。
やはり重量感、素材感が分からないというのが、一番のマイナス要因となっていた。
という事は、やはりコートなど重衣料は、着用期間の短さも相まって、「リスク高し」と受けとめられている。着用期間の長い中軽衣料シフトが進みそうだ。
ただスワッチなどが送られて、ズームなどでやり取りしながら、きめ細かく丁寧にフォローしてくれたブランドについては、デジタルショーのみの不完全さをカバーして、発注もリアルほどではないにしても、ある程度実行できたという。またダブルで作成されたサンプルが日本に届いて、リアル展で商談できたブランドについても、デジタルショーの情報不足を補うことができたそうだ。だが、サンプルをダブルで作れるところなど大手のみ。小さなブランドでは、前者が精一杯といったところだ。この点では、「日本ブランドには有利で、チャンスなのでは」との声も聞かれた。「オーラリー」は立派な箱にスワッチや糸などを詰めて、海外の主要な取引先に送ったそうで、こういったきめ細かな対応に、日本人は長けていると考えられる。

オーラリーの箱詰めキット

今回の鼎談では、「デジタルコレクションで課題を感じた点、良かったと思う点」「注目したコレクションは」「来春夏の仕入れという点で、感じた困難さ、逆に進んだ面はあったか」「ウィズコロナという状況下でもあり、コレクション以外も含め、仕入れに関して変化は」などをテーマに話し合ってもらった。詳細は『encoremode』にて是非読んでみてほしい。