久保 雅裕

2019 21 May

上海でシャネルの展覧会と現代美術を満喫

毎年恒例の浙江紡織服装職業技術学院・中日コースの集中授業で中国・寧波にやってきた。月曜から金曜まで、100分授業を15回行なうのだが、「ファッションビジネスの全般的理解」「世界の流通リサーチ」「取引条件と流通構造の変化」「ファッション産業の今日的課題」などなど盛り沢山の内容にたぶん学生も辛いだろうな〜といつも思ってしまう。そんな中、昨年から学院の先生たちが気を使ってくれて、1日、学外実習と称してあちらこちらと連れ出してくれるようになった。もっとも70〜80人もの学生たちを連れて歩く訳だから、結構な団体さんだ。

今回は上海まで遠出して(バスだと3時間以上かかる)、最初に4月20日から6月2日まで「上海西岸芸術中心」で開かれているシャネル展「マドモアゼル・プリヴェ」を訪ねた。

中国でもSNS映えが重要だ

ロンドン、ソウル、香港などでも開かれた同展は、大きなホール内に香水、オートクチュール、ハイジュエリーの3つの館を設え、実際のアーカイブスといくつもの埋め込まれたディスプレイに映し出される映像を楽しめる趣向だ。

最後のコーナーには大きなスクリーンに「インサイド・シャネルドットコム」の映像が流され、客席は若者たちで埋め尽くされていた。1913年、フランス・ノルマンディー地方のドービルにできたガブリエルシャネルの店を再現した短編映画もあるなど贅沢なチャプターもあった。

ワークショップも開かれ、こちらには行列ができており、書籍コーナーは、自由に閲覧できるようになっていた。

この展覧会、なんと入場無料という太っ腹に加え、中国人であれば、SNSのWe Chatに登録することで記念のポーチがプレゼントされる。もちろん日本人の私に権利はない。残念!

SNSの拡散による販促効果をバッチリ狙ったイベントと言える。

続いて2012年10月にオープンした中国最大の現代アート美術館「上海当代芸術博物館」へ。旧火力発電所をリノベーションした複雑な構造の建物が特徴だ。

「why we design」と題された展示では、短冊状に切られたビニールシートに映し出される映像を見ながら、次々と小部屋を歩いていく趣向で、世界の映像アーティストの作品が流れ、ちっとした錯覚に陥りそうな小部屋も。

Helene Binet

Luis Chan

この他写真を中心とした個人展「Helene Binet」(7月21日まで)、中国人画家「Luis Chan」(6月23日まで)の個展も開催されていた。

ちょっとした日帰り旅行気分で、学生たちもフリータイムを楽しんでいた。