武田 尚子

2019 22 Jan

イノベーションの次なる段階

2019パリ国際ランジェリー展が閉幕した。

同展は世界のランジェリー業界の縮図ととらえている私にとって、今回は大きなパラダイムシフトを感じた。

その詳細は改めてお伝えするとして、日本と世界の潮流の違いについて、象徴的かつ具体的だったのが、ワコールヨーロッパのディレクターである若代さんのコメントだ。

 

「日本はカットソー(接ぎ)が主流なのに対して、ヨーロッパはフラットでなめらかなタッチが好み。その市場に向けて、日本のテクノロジーを活かした新製品を開発しました。1枚のニット生地の中にリフトやフィットなどあらゆる機能を持たせたものです」

 

その新製品とは、「ボディリフト」シリーズのガードル。

かつてヨーロッパにおけるシェイプウエアのリード役を果たした同社の新たな挑戦だ。

ナノファイバーを編み込んだという独自の生地は、生地メーカー、アサヒマカムと2年をかけて共同開発したもので、縫製はタイワコールが行っているという。

 

ワコールヨーロッパは基礎固めの時期を経て、「イノベーションの再構築」の段階に入っている。

若代さんは、「イノベーションとセダクションが共存するものを発信していきたい」と話す。

 

それはまさに日本における近未来像。既に潜在ニーズは高いように思われる。

あらゆる面でもう、日本と海外は市場性が違うなどと言っていられない。提供側も消費者も知らないだけ。体感していないだけ。

世界は想像以上に近い。共通項に満ちている。

単なる情報にとどまらず、もっと広いグローバルな視野を持つことが重要ではないだろうか。自分はそのお手伝い役と痛感している。