武田 尚子

2022 18 Mar

インナーウエアも男女でシェア

ダイバーシティ(多様性)の一環として、アパレルにおいても”ジェンダーフリー”の意識が浸透してきた。ユニクロの商品説明を見ていても、最近は「男女兼用」とか、メンズであっても「女性にもおすすめ」といった表示が目につくようになった。
従来のレディス(女性物)・メンズ(男性物)の枠にとらわれずに、自分(体型や気持ち)に合うものを自由に着てほしいという動きだろう。以前から“ユニセックス”は珍しいものではないし、かつては“アンドロジナス(両性具有)“という言い方が流行ったこともあった。
上背のある私にとっては、昔から男物を着るというのは当たり前のことだが、今はゆったりしたオーバーサイズがファッションのトレンドであることもあって、体型に限らずにメンズを着る人が増えているのも要因だろう。

多くの場合はアウターウエア(外着)を中心に、スポーツやアウトドア、ミニタリーをはじめ、性別をあまり問わないカジュアルな領域でこの動きが顕著であるが、ここにきてインナーウエアの領域でも”ジェンダーフリー“の商品が登場している。
シャツやジャケット、コートをはじめ、カットソーやパンツは分かるが、男女の性差に対応するインナーウエア、しかもボトム(ショーツ、ボクサーパンツ)で男女兼用を実現した例を紹介したい。

日本のファッションブランド「ビューティフルピープル」は、ワコールのブランド「ワコールメン」との協業によって、ワンサイズでS-LLまでの男女あらゆる体型に合うインナーウエア「WACOAL MEN ÷ beautiful peopleボクサーパンツ」(5色展開、(税込)3,960円)を2月に発売。同ブランドの店舗や両社のオンラインショップなどで、予想以上の人気を得たという。
これは「ビューティフルピープル」が掲げる “KIDSWEAR FOR EVERYONE”のコンセプトが、「ワコールメン」の持つ技術と掛け合わせることによって生まれた新しい価値ともいえるものだ。
オーガニックコットンを使用した伸縮性のある素材は、編立成型で縫い目が少なく、締め付け過ぎずに快適な履きごこちを特徴としている。ジェンダーレス(男女兼用)、サイズレス(ワンサイズ)のためにSKUを最小化することで、独自のサスティナビリティを目指すとしている。
アパレル産業にとっても、従来の固定観念を超えた有意義な取り組みだと思う。