武田 尚子
リアルタイムで情報発信
最近、ちょっと気になっていることがある。
毎シーズン、国内インナーアパレルの展示会にはできるだけ多く伺うようにしているのだが、会場内の写真撮影や掲載タイミングを細かくコントロールされるようになったのだ。あるメーカーなどは、配布資料もなく、展示会場内の写真撮影が一切不可だった。
メモはするにしても、写真がないと記憶からどんどんこぼれ落ちていくし、記事として紹介する機会も見失いがち。
もちろん起用しているタレントとの契約もあるし、販売戦略上、掲載時期の問題もあるだろう。それ以上に、ネットメディアの発達による弊害を危惧するなど、ブランド管理上、いろいろ不都合があるのは理解できる。
一方で、ブランドによっては、展示会においてもSNSのインフルエンサーやブロガーを優遇し、個人発注を促すような傾向も見える。
あまり即効性のある情報には貢献していない記者にとっては、何となく居心地の悪さがつきまとう。
そういう中でも、毎週といっていい位に商品情報をリアルタイムできめこまかく発信しているのが、トリンプ・インターナショナル・ジャパンだ。
「トリンプ」ブランドの他、直営部隊の「アモスタイル」、さらに別会社組織となって多様化を進めている「スロギー」と、事業組織それぞれから発信されるので、その頻度も高い。
接着技術のフラットな設計による“解放感”で大ヒットとなった「スロギー・ゼロ・フィール」がさらに進化しているのをはじめ、同「ソフトブラ」、プレミアムレーベルの「エス・バイ・スロギー」、アクティブボディウエアの「スロギー・ムーブ」、さらにこの秋冬は防寒機能や調温調湿機能のニットインナーも発表している。
8月発売の新シリーズをいくつか紹介しよう。
一つは、なめらかな肌触りのマイクロレーヨンを使用した「スロギー・ワオ・エンブレース」。フレックスメッシュ内蔵カップでナチュラルなバストラインをつくるノンワイヤーブラで、モダンでクールなデザインとなっている。
もう一つは、モードな感覚が主要百貨店で好評の「エス・バイ・スロギー」。
商品情報というより、ブランドのマーケティング戦略の一環といえるものだが、イギリスのファッションデザイン校、セントラル・セント・マーチンズとのコラボによるキャンペーンを展開するという(新宿駅での交通広告はもう終わってしまったが、商品はいよいよ21日から販売が開始される)。学生たちのアイデアを取り入れたビジュアルが、「エス・バイ・スロギー」の世界観を新鮮に見せてくれている。