武田 尚子

2019 12 Aug

市場の多様性進める次世代ブランド

今回の「ユニーク・バイ・モードシティ」展ほど、世代交代を感じさせたことはなかった。

おなじみのブランドが市場から撤退(あるいは休眠)していたり、長年お世話になった老舗ブランドの営業部長が退職していたりという動きも含めてである。

まさに「諸行無常の響きあり」。

 

展示会場内で時々会うフランスのデザイナー(四半世紀前のブランドデビューから知っているその人は、今はフリーランスのデザイナーとしていろいろなブランドの企画にかかわっている様子)も、昔から顔見知りの私のところにやってきて、今の時代の変化に戸惑う話が続いた。

私世代の人はおろか、50歳前後の人にとっても、時代の変化にどう対応していくか、自分のこれまでの経験をどう仕事に活かしていくか、模索している。これは世界共通である。

 

会場では、インターネット時代を反映した高感度ブランドを集めたエリア「EXPOSED」がすっかり定着し、その次の世代(Z世代)による新しいブランドを集めたエリア「ミレニアル」が新たに登場。「EXPOSED」も常連のブランドに交じって、ミレニアル世代の新顔も見えた。

興味深かったのは、子供時代の思い出なのか、大人になりたくないという願望なのか、共通してある種のカワイイ子供っぽさが特徴になっていた点だ。

 

「ミレニアル」エリアの正面にあったのは、ハンドメイドのショーツブランド「Cucu la Praline」で、今回のファッションショーにも多く登場していた。コットンプリントやイニシャル入り、両サイドのリボン使いなど、どこかノスタルジックな雰囲気がある。

 

また、水着の「KITESS」は、昔の子供服によくあったようなスモック刺しゅうやフリル使いが特徴になっていた。

 

EXPOSED」のニューカマー、「MEW SWIM」はアメリカ西海岸から来たカップル(LenaAi)によるブランド。砂糖菓子のようなパステルカラーのピンクとブルーにベージュ(砂色)を組み合わせたウエットスーツ素材の水着が目を引いた。

ALのかぶっているキャップ帽には、東京に来た時に買ったフィルムやガムの包み紙が。

 

このような新世代ブランドの登場が、市場の多様性をさらに進めていくに違いない。

「多様性」こそ、「サスティナビリティ」の原動力であろう。