武田 尚子
「ユニセックス」に注目
ファッション全体の傾向として、「男女兼用」や「オーバーサイズ」が定着してきた中で、来年春夏シーズンの国内インナーウエア展示会においては「ユニセックス」というキーワードが浮上している。基本的に肌にフィットすることが不可欠なインナーウエアは、アウターウエア(婦人服)と同等の「男女兼用」や「オーバーサイズ」というわけにはいかないが、特にナイトウエアやラウンジウエアではユニセックスタイプが目につく。
これは昨今のジェンダーフリーの動きや、シルエットのトレンドというだけではなく、地球温暖化による猛暑をいやというほど経験しているなかで、風通しのよいものをゆったり着て、夏を快適に過ごしたいというニーズが強くなっていることを反映している。
「キッドブルー」は『旅』を2025春夏のシーズンテーマに、心と体を和らげるコレクションを発表した。今回も、3月8日の”国際女性デー“の売場づくりを意識したミモザのシリーズが充実。イエロー、アイボリー、サーモンピンクをはじめ、キッドブルーらしい優しいデニムカラー、そしてシーズン後半はレッドやライムグリーンなどのリゾートに映える色をそろえている。
シーズンを追って商品説明を聞きながら、新しい動きとして気になったのが、「ユニセックス」の投入で、ナイトウエアやリラクシングウエアのいくつかのグループに「ユニセックス」タイプが組み込まれていた。これは2024秋冬シーズンから試験的に取り組んでいるとのこと。同ブランドは以前から一部メンズを展開してきたが、それとは異なり、今回のユニセックスはどちらかというと女性を対象にしているようで、これには店頭におけるインバウンド需要への対応もあるようだ。
凝ったストライプギンガム(先染ストライプカットドビー)素材のユニセックスパジャマ(3サイズ展開)
「キッドブルー」で夏の一番の売れ筋である、カラフルなシャーリングチェックのグループも、ユニセックスの半袖パジャマ(こちらも3サイズ)を
また、「フリープ」(島崎)は、人気の定番シリーズを中心に、それぞれシリーズごとに新色をさしこみながらブラッシュアップ。2025春夏シーズンの新グループとしては、スマイルコットンの薄手綿ニットのリラックスウエアが登場した。
リラックスウエアでは、これまでもスムースのパジャマをユニセックスで展開してきたが、今回は夏を意識した軽くて涼しい素材。特に「ユニセックス」とはうたっているわけではないが、ゆったりしたクルーネックTシャツとハーフパンツのユニセックス感覚のアイテムで、MとLの2サイズ展開となっている。ブラやキャミと同じく、縫い目が肌に当らないような心配りがされているのが特長だ。
サマーシリーズを背景に、リラックスウエアも夏バージョンが登場。右肩にかかっているのは、2024秋冬登場のカーディガン