武田 尚子
シャンタル・トーマスが新たなスタート
世界でも有数なランジェリーのデザイナーブランドとしての地位を築いている「シャンタル・トーマス」が、新しいオーナーによって再スタートを切った。
同ブランドは2011年から、フランスの老舗ランジェリーメーカーであるシャンテル社の傘下に入ったが、シャンタル・トーマス自身は2018年にアーティスティックディレクターの職を離れ、改革を進めるシャンテルグループの1ブランドとしてブランドを継続していた。
新しいオーナーとして、シャンテルグループから「シャンタル・トーマス」を買収したのは、フランスの実業家であるティエリー・ル・ゲニック。ヴァネッサ・ブルーノとフランチェスコ・スマルトの元CEOである彼は、現在、ランジェリーブランド「メゾン・レジャビー」、「ラスレル」、プレタのハイエンドブランド「ポール・カ」なども所有しており、昨年はシャンテルグループから小売チェーンの「オルカンタ」を買収していた。
フランスの文化を絶えさせたくないという彼の熱意によって、シャンタル・トーマス自身がデザイナーに復帰したのも大きなニュースだ。
新しい2022秋冬コレクションは、かつてのアーカイブを参考にしたグループも充実し、全体的に本来の「シャンタル・トーマス」らしさが戻ってきている。これは近年、シャンテルグループ傘下によってブランドが変質を変質をとげていたことの抵抗と危機感であることは確かだろう。
カタログの表紙には次のような言葉が連なっている。
お互いを愛し、楽しみ、自分を大切にするランジェリー。それは、快適さと動きやすさ、軽さと目に見えないものを求めて、誘惑と魅力をもたらします。
シャンタル・トーマスは彼女自身のコードに戻り、前衛的で創造的で官能的、美しい素材の味わい、ブードゥワールの精神、ショーのアイデンティティ、プレタポルテとの連動といった彼女の世界によって再設計します。
女性たちを魅力的にし、誘惑の力を明らかにし、宝石としての要素になるランジェリーを望んでいるのです。
日本におけるシャンテル社とメゾンルジャビー社の総輸入発売元は、従来通り株式会社アイ・ピー・エフ