武田 尚子
ギャラリー・ラファイエットのランジェリー売場
ワクチン接種が進んで日常を取り戻しつつあるパリ。そろそろヴァカンスの準備に入る6月下旬、ギャラリー・ラファイエットオスマン店ランジェリー売場の販売責任者、カトリーヌ・リシャーさんに話を聞いた。
同売場は、コロナが蔓延しようとしていた昨年2月に大幅改装を行った後、数回のロックダウンを経て、今年は5月に再開を果たしている。
この時季、華やかな華やかな水着&リゾートウエアの一方で、ランジェリーも少しずつ着実な動きを見せているようだ。
●再開後のお客の様子というか、購買傾向に何か変化はありますか。
しばらく閉まっていたので、不足していたものをようやく買いに来たという人。コロナ禍で気持ちが塞いでいるから気分転換がしたいという人。家にいることが多くなったために、より快適な部屋着を求める人。そういうお客様が多く見受けられます。
●2021春夏のランジェリーで、動きが目につくブランドは? 売れ筋の変化はありますか。
水着を含めて「エレス」が好調なのをはじめ、「オーバドゥ」「シモーヌ・ペレール」「レジャビー」「シャンテル」など、ブラジャーを強みとしているブランドに人気があります。一方、これは売り場が小さくなったことも原因ですが、「プリンセスタムタム」は不調。広いスペースでアイテムバリエーションをそろえて引き立つブランドですね。
●新しい売場になって良かったことは?
以前の4階は、スーツケースなど旅行用品が隣にありましたが、2階のプレタのフロアに移って、ファッションの相乗効果が出ていると思います。また、今回の新しいランジェリー売場は什器も含めてナチュラルなテイストでまとめ、外光を活かした明るい雰囲気で統一感が出るように努めました。通路に沿ってぐるりと自然に売場を一回りできるようになっていて、比較的手ごろなものから高級品まですべてに目が届くようになっています。楽しみながら売場を歩き、自分の体型に合ったランジェリーが見つかるようになっています。
●これから力を入れていきたいことは何ですか。
新しい売場がまだ認知されていないので、スタッフはもっとお客様に寄り添って、気持ちよく買い物していただけるような気づかいが必要です。もっとお客様への助言や説明をこころがけて欲しいとスタッフには話しています。お客様が満足すれば再訪していただけますし、口コミで他の人にも伝わります。
当店のスタッフは各ブランドともプロフェッショナルなので、お客様一人一人の体型に合ったものを勧めることができます。それがネット販売とは違う百貨店の強みです。
●サスティナビリティやトレーサビリティといった課題に対してはいかがでしょう。
はい、もちろん継続していきます。ギャラリー・ラファイエットでは、「Go For Good」という基準を設け、既に館内では120ブランドが認証を受けています。この基準に満たないブランドは売場に残れなくなります。ランジェリー売場でも積極的に取り組んでいます。
ウイズコロナ生活によって、人との接触を避けるような考え方や習慣が定着しているが、
「ランジェリーの販売は、お客様と話をしなければ成り立たない」と、カトリーヌさんは強調していた。お客様とのコミュニケーションこそが、百貨店ランジェリー売場の強み。その大切さが再認識できるインタビューだった。
(通訳・取材コーディネーター、パリ在住・磯部美保)