武田 尚子
新コンセプトストアにおける「ランジェリーク」の”主張“
国内ランジェリーの中でも洗練されたセンスで存在感が定着しているブランド「ランジェリーク」(㈱カドリールインターナショナル)が、代官山に新コンセプトストア「L’ANGELIQUE DAIKANYAMA」オープンさせた。

近年、同ブランドが展示会を開催している場所にも程近い、表通りに面したビルの2階。アーチ型のエントランスを入って階段を上がり、骨のような大きな木製ドアノブを押して店内に入ると、明るくあたたかな空気につつまれる。バックヤードも含めて43平米というコンパクトさ、しかも変則的なスペースだが、大きな窓から自然光が入るので、店内は自由で開放的な雰囲気に満ちている。
「ランジェリーのある豊かな日常」という店のテーマを象徴するように、店内中央には、人肌のようなリノリウム(天然素材から作られたカーボンニュートラルな材料)使用の、ストック什器を兼ねたカウンターが置かれ、お客は店の人と相談しながらじっくり心ゆくまでランジェリーを見て選べるようになっている。
ストックを入れた引き出しの内部は赤。まるで人体に流れる血のように、見えない内部に赤が効果的に使われている。店舗デザインについては、これまで「ランジェリーク」のいくつかの店を手掛けてきた経験豊かなデザイナーが当たっているという。
店の奥は天井からのカーテンを引くと、広々としたフィッティングルームに早変わり。中は2人で買い物に来てもゆったり過ごせるようなゆったりしたスペースになっている。
横に立つのが「ランジェリーク」クリエイティブディレクターの有馬智子さん
もう一つ、同店の大きな特長といえるのが商品構成で、「L’ANELIQUE(ランジェリーク)」だけではなく、「YASMINE ESLAMI(ヤスミン・エスラミ)」「Araks(アラクス)」「condor(コンドル)」といったインポートランジェリーやライフスタイルグッズをセレクトし、しかもそれらをブランド別に分けることをせずに、自然にミックスさせてある。その全体が醸し出す世界観が同店の持ち味だろう。
「ランジェリーク」と仕入れのインポートブランドをあえてミックスさせて展開していても違和感がない
夜になると、代官山の通りからの視覚効果を狙って、窓際にはランジェリーを着けたボディが並べられる。パリの街のように、店が閉まっている時間もウインドウディスプレイで店の存在感を”主張“するというわけだ。長く代官山界隈になじんでいるブランドらしく、「街との”調和”の中でブランドを”主張“させたい」(有馬智子さん)という思いが伝わってくる。
