武田 尚子
リカバリーウエア市場への期待
インナーウエアの中でも、テクノロジーを駆使した新しい市場の代表選手といえるのが、身に着けることによって疲労回復や休養を促進させるというリカバリーウエアだ。
この分野に、ワコールがボディケア商品強化の一環として進出を果たした。「& RECOVERY(アンドリカバリー)」(一般医療機器登録)というブランド名で8月上旬から発売している。
血行を促進する新世代繊維「A.A.TH Medical™(アースメディカル)」(オンヨネ㈱の登録商標)を使用したもので、この繊維が太陽・照明・人体などから発せられる遠赤外線のエネルギーを吸収し、遠赤外線のエネルギーが、からだに輻射(ふくしゃ)されて、温熱治療を行うという。
日中、睡眠時、運動前後と、さまざまな生活シーンに対応する 13 アイテム(レディス、メンズ)を、全社の複数の事業部を横断するスタイルで展開し、百貨店・専門店・チェーンストア・スポーツ専門店の約 200 店舗で販売がスタートした。
価格帯は、左のレディース10分袖トップスが9350円から、右メンズシャツが8800円。
一方、リカバリーウエア市場のリーダー役である「ベネクス」は、女性の身体を優しく包み込む「おうちインナー」シリーズの発売を8月20日から開始し、女性インナーウエアへの取り組みを本格化させている。
これは女性のおうち時間、ことに夜の就寝時には身体も心も解放してほしいという思いから誕生したもので、「ベネクス」の特徴である特殊繊維「PHT」(独自の先端テクノロジーにより、ナノプラチナなどの鉱物を繊維1本1本に練りこんで開発したポリエステル)をベースにしながら、女性のリラックスシーンに寄り添った心地よいソフトな生地を開発。
長年ブラジャー開発に携わった下着デザイナーによって、“つけないよりつけている方がラク”な下着の試作を繰り返し、先行販売を行ったクラウドファンディングサービス「マクアケ」でも支持を得たという。
今回の「おうちインナー」シリーズは全5型。ブラジャーは脇部分や背中をカバーするかたちになっており、バストのボリュームがある人向けの「シャーリングブラ」(生地の伸縮性と切り替えでバスト全体をつつみこむ・6820円)、バストが小さめで下垂ぎみの人に向けた「ギャザリングブラ」(アンダーバスト前見頃の広幅サテンネットがバストを支えて安定感のある着け心地・7480円)の2型をそろえた。どちらもストレスのないホールド感が特長(パッドの取り外し自由)。ショーツはゴムを使用しないやさしい作りとなっていて、3タイプ(ショーツ、腹巻とショーツが一体となったボディショーツ、ももをつつみこむ4分丈)を構成している。写真のブラは「シャーリングブラ」。
快適性や健康を追求するビジネスが、ますます熱をおびてきているなかで、このリカバリーウエアが日本が強みとする機能性インナーの一つの軸となっていることは確かだろう。