武田 尚子
バラカンの建築からインスピレーション
今週後半、インナーウエアにおける2018秋冬物の展示会が集中して開かれた。
モノ(商品)の紹介だけではなく、ブランドの世界感を表現したという意味で、印象的だったのは「ランジェリーク」(カドリールインターナショナル)。
今回のテーマ“ROSADO(ロサード)”は、スペイン語で“ピンク色”という意味で、メキシコ人建築家ルイス・バラカンの自邸にインスパイアされている。
1月中旬にパリで開催された「パリ国際ランジェリー展」でも同じものを見ているわけだが、東京の会場ではその世界にじっくり浸ることができた。
バラカンの世界をポップに表現した会場作り(写真は入り口から見渡した展示会場)。
スクリーンの裏側にはグループごとに商品を紹介してある。
「ランジェリーク」のシックで繊細なランジェリーとの対比がおもしろい。
光の差し込む空間、ピンクや黄色の美しい色彩の壁、メキシコらしい乾いた風土や植物との調和…
デザイナーの有馬さんからバラカンの建築の話を聞きながら、ますますメキシコに行きたくなった私だった。
それにしても伝えたいのは、建築から得たインスピレーションをこのようなかたちで表現できる日本のブランドが存在していること。
何かと見栄えが重視される風潮の中で、「ランジェリーク」のデザインはますます深みを増している。
5月には近隣にある代官山・蔦屋書店でフェアを行う予定。常に次なる一歩を踏み出す姿勢からはエネルギーをいただく。
テラコッタ色のトライアングルブラ&キュロットペチコートは、メキシコの乾いた空気を想わせるコットンドビーツイルと透明なレースの組み合わせ(“アシエンダ”グループ)
右は、ダイナミックな花のモチーフの綿リバーレースをあしらったコットンツイルのワンピース(”マドンナ”グループ)
大木に咲き乱れるジャカランダの花を2種類のレースで表現。ジャガードレースの豊かな表情が映えるスモーキーベージュ(“ジャカランダ”グループ)
左は、いかにも着け心地のよさそうなワイヤレスのトライアングルブラ(“ジャカランダ”グループ)。右はクリスマス向けの“ルス”グループ。今回のテーマを反映したピンク(この華のあるピンクがまた魅力的)だけでなく、こういったベビーブルーとイエローの配色も目を引く。素材はストレッチツイルタフタとストレッチリバーレース