武田 尚子

2018 18 Jul

スポーツと日常が交わるところ

今回のパリでの国際展示会「ユニーク by モードシティ」は、そのキャッチに「SWIM×LINGERIE×SPORT」と並べられていたように、スポーツの存在が増していた。それは単にスポーツウエアとかアスレジャーという分野の躍進を指すのではなく、ランジェリー全体にスポーツの影響力が及び、またスポーツの日常化も顕著に反映していた。

展示会ビジネスとしても、スポーツ専門の組織とパートナーシップを結ぶことによって、一般消費者まで巻き込んだイベント性を強化していく姿勢を打ち出したことは先日も伝えた。ランジェリーや水着やスポーツという境(業界の違い)を超えて、大きくライフスタイルというくくりで見るのは必至だし、ましてやインナーウエアという従来の狭い価値観に留まっていては、業界の未来はないことをあらわしてもいる。

オリンピックを前に盛り上がっている日本に限らず、スポーツは世界共通の動向(トレンドというより衣服そのものの変化)となっている。

 

そんなことを肌で感じながら日本にもどると、トリンプ・インターナショナル・ジャパンから「スローギー・ムーブ」という新しいアクティブボディウエアを発売するという情報が届いていた。

 

今春、別事業部として独立したことによって、商品ラインナップがぐんと充実している「スローギー」。もともとは1979年にドイツで生まれたショーツのブランドだった。

2013年に日本で発売した接着技術活用の新感覚インナー、「スローギー・ゼロフィール」は大ヒットを見せ(今年5月末時点の累計で450万枚の実績)、今年3月からグローバル展開が始まって、既に40か国で販売されているという。

 

「スローギー」の新ブランドである「スローギー・ムーブ」は、スポーツシーンでも日常でも身に着けられるという中間領域に位置するもので、ウォーキングやヨガなどのソフトスポーツを始め、キャンプやサイクリングなどのアウトドアライフを楽しむアクティブなライフスタイルに対応している。

一方、同社トリンプブランドの「トライアクション」の方は、よりスポーツインナーの機能性を重視したラインで、役割も価格帯も異なる。

 

スポーツ用途にとどまらず、日常的なランジェリーから考えても、男性目線ではない合理的でスポーティなものへのニーズがますます高まっているこのご時勢。

ベーシックなインナーウエアの一つのタイプとして定着していくだろう。

もちろん、決してそれ一辺倒にならず、常に対極のものが同時に求められていることは言うまでもないが。