武田 尚子

2025 05 Jun

「フロラーレ・リュックス」にラグジュアリーなニット

世界的な傾向として、インナーとアウターの境を超えた、天然素材を中心とするニットアイテムが注目されている。1月のパリ国際ランジェリー展でも、ラウンジウエアの一アイテムとして、また普段のコーディネイトに着られるセーターとして、従来のニットインナーよりもう一歩、アウターの領域に踏み込んだ新アイテムを、多くのブランドで目にした。

5月下旬に開催されたトリンプ・インターナショナル・ジャパン(株)の2025秋冬物展示会では、好調を続ける「フロラーレ・リュックス」に、ホールガーメント(島精機)による天然素材のニットアイテムが登場していたのが目を引いた。カシミヤ50%・シルク50%のセーター感覚のリブ編みと、なめらかな肌触りのシルク100%(東洋紡MAYUCA使用)の2タイプ。立体的に編み上げてある縫い目のないものなので、どちらも軽い着心地で体をゆったりつつみこみ、年間通して快適に着用することができる。カシミヤとニット、一度身につけたらもう肌が覚えてしまう。

デザイナーの尾台さんによると、都心型百貨店を中心とする「フロラーレ・リュックス」の顧客は、ヨーロッパ本場のレースを使ってホンモノを追求したランジェリーと共に、上質な天然素材に対するニーズも高いのだという。レースと天然素材に対する価値観、まさにタイムレスなものを求める究極のラグジュアリーを代弁しているようだ。

リュックス、ラグジュアリーといっても、手の届かない価格帯には設定しないのがインナーアパレルの良心だろう。「フロラーレ・リュックス」は通常の「フロラーレ」(ブラジャーで1万円以内)よりやや高めだが、それでもブラジャーは1万円代後半(ショーツとそろえると2万5000円位)で、インポートブランドとほぼ同じ価格帯。今回のニットのホールガーメントシリーズは、シルク100%がフレンチ袖27,500・3分袖29,700円、カシミヤ・シルク混が3分袖30,800円・10分袖33,000円となっている(共に税込)。発売予定は9月上旬。
カシミヤ・シルク混
シルク100%

 

ことにつけインナーウエア市場全体の縮小を感じてしまう昨今だが、衣服という大きな領域の中で、ランジェリーの存在意義を再考する機会になればいいと切に願う。従来の枠組みにとらわれない新しい発想が求められている。

都心百貨店でファンを広げる「フロラーレ・リュックス」