武田 尚子

2022 20 Feb

ワコールらしいシャツへのアプローチ

引き続き、シャツの話題を。
ワコールから〔大きな胸をすっきり見せるシャツ〕が発売された(2月17日からワコールウェブストア限定販売)。
「シャツ」と聞いて、最初はアンダーウエアのシャツ、つまり肌着(ニットインナー)かと想ったら、正真正銘の「シャツ」。胸の大きな人にとっては、「バストに合わせてサイズを選ぶと他の部分がブカブカになってしまう」「ウエストなど他の部分に合わせると胸が強調される」「ボタン部分にすき間ができてしまう」など悩みの多いアイテムだ。

ワコールでは、胸が大きい人の悩みをサポートする〔小さく見せるブラ〕を2010年から発売し、累計販売枚数155万枚を売り上げるロングセラー商品となっているが、今回のシャツはその延線上にあるもので、服の定番アイテムであるシャツを通じてお客様のサイズに関する悩みをサポートしていきたいとしている。

〔大きな胸をすっきり見せるシャツ〕は、「からだを3次元にとらえた立体的パターンを採用し、胸もとにゆとりをもたせ、バストまわりのシルエットをスッキリきれいに見せると同時に、動きやすさも兼ね備えたシャツ」だという。
デザインは坂寄順子氏(「sakayori.」「g.」を展開するデザイナー)、パターンは本橋奈枝氏(ドイツミュラー理論のパターンメイキングの研究者)が当たっている。
デザインバリエーションも多彩で、全部で5品番(全5色、サイズはM・L、中心価格は税込み8800円)。

ターゲット層とは対極の体型を持つ私からすると、正直のところリアリティがないのだが、世の中の女性の体型を観察していると、確かに胸が小さくて悩んでいる人よりも大きくて悩んでいる人の方が高確率であろうことは十分に想像される。
シャツやポロシャツは、本来、立体的な体型に似合うアイテムで、ボリュームある体型を美しく見せるアイテムだ。まずからだに合ったブラジャーで体型をすっきり見せ、それに合うシャツを着ける。女性が自分に自信をもって堂々と生きていくことを助けるものであろう。


まさに、ワコールしかできない、ワコールらしいアプローチと言える。
これを機に、ネット販売の強みを活かしたこういうカテゴリーの広がりが期待される。

 

写真は、ストレートラインシャツ(8800円)