武田 尚子
大人にはシャツが似合う
最近、というか、ここ2、3年、私が気になっているのがシャツ(ロングシャツ、シャツワンピースを含め)だ。
年齢を重ねた大人の女性には、絶対、シャツが似合うと思う。
年間通し、季節に合わせた着回しもきくし、体型をうまくカバーしてくれるきちんと感がある。
それも若い人が好むような、いかにもトレンドといったシルエットやディテールではなく、長く着られるいいシャツが欲しい。
素材は幅広く考えられるが、やはり仕立ての良さが不可欠だろう。
そんなことを考えていたら、三陽商会から“名品シャツ”発売のプレスリリースが届いた。
これはオリジナルブランド「エス エッセンシャルズ」で展開しているもので、同社のものづくりを象徴する「100年コート」の好調な動きをふまえ、それに並ぶ中軽衣料の開発を目指したのだという。同社のパタンナー集団「サンヨーエンジン」と企画開発を行い、メンズドレスシャツ国内最高峰の工場「HITOYOSHI」(熊本県人吉市)で縫製している。
“名品シャツ”は「ピンタックシャツ」(税込29,700円)と「ピンタックシャツワンピース」(税込33,000円)の2型
胸元のプリーツタックと小さなスタンドカラーが魅力的な、ゆったりした着心地のシャツとシャツワンピースの2型で、ホワイトとブルー系に色を絞ってあるのもいい。
シンプルでありながら、襟元のボタンや前立てをはじめ、深めのサイドスリットや長めのカフス、袖の立体感など、すみずみまで行き届いたデザイン設計がなされている。
生地は、綿織物の産地として200年以上の歴史を持つ西脇の播州織のハイブリットシャツ素材を使用しており、GOTS認証取得のオーガニックコットン糸とリサイクル素材から作られたポリエステル糸をかけ合わせてあるために軽くシワになりにくくサラッとした質感だという。
私たちの生活が大きく変化し、もう無駄なものは欲しくないと思う中でも、私たちを引きつけてやまないのはこういう上質な定番アイテムではないだろうか。
それは婦人服アパレルに限らず、インナーアパレルについても同じ。いかに長く愛される定番を作るかなのである。
シャツ一つとっても、アウターとはまた違ったリラックス要素が加わり、ジェンダーフリーとシーズンフリーで広がりを見せるはずだ。基本は変えず、シーズンごとに多少の変化を加えるだけでいい。
ホームウエアにはシャツを特徴にしたブランドも(2021年秋 パリ・ボンマルシェのランジェリー売場で)