武田 尚子

2018 05 Dec

さらに肌当たりの優しさを

12月に入ってもこの陽気で、防寒物アウターや肌着が売れないという悲鳴が聞こえてくる。季節感がよくわからなくなっているが、年末年始のピーク期を前に、既に2019春夏物の発表も出そろっている。

 

10社以上、20社近くの展示会を見ている中で、商品開発の多様化の中でもその底に流れる共通の方向性として感じたのが、「肌当たりの優しさ」を意識した物づくりがさらに進んだということ。それはなかなかパッと見では分からないが、ブラジャー、肌着からナイトウエアまで、あらゆるアイテムにわたり、素材、縫い目、タグ(いや、おそらく商品設計から)と多様な要素が関連してくる。

日本人の肌はそれほど過敏になっているのだろうか。肌に弱い人が増えているというより、その悩みに声をあげる人が多くなり、メーカー側もそれにきめ細かく応えることによって差別化を図りたいということなのだろう。

 

からだへの優しさ、肌当たりの優しさは、もともとインナーアパレル日本ブランドの伝統であり、商品特長であるといえる。ワイヤーブラ全盛の時も、痛くならないワイヤー、体に優しい快適なワイヤーが追求されていた。

 

肌当たりや肌への配慮という意味で、象徴的なのがスマイルコットンを使用した「フリープ」(島崎)。それは、インポート感覚の洗練されたリュックスシリーズにおいても、その特性は十分に発揮されている。

上質でなめらかな風合いの薄手素材(綿100%天竺)に、繊細なリバーレース。肌に当たるブラカップ裏側の仕様や縫い目はもちろんのこと、共生地で作ったソフトな肌当たりのストラップ、身生地を当てた肌当たりの優しいホック裏、洗濯表示は洗濯ネームではなくてプリント。中のブラカップは蒸れにくく軽い仕上がりの、エルクの不織布を使用している。さらに、バック表側に付けた小さなレースのブランドネームがおしゃれなデザインポイントとなっている。

色は、ノーブルホワイト、グレー、ネイビー、モスグリーンに加え、新色ローズブラウンが加わった。モードの魅力たっぷりに、日常を快適に変えてくれるランジェリーだ。