武田 尚子

2018 29 Nov

トリンプの展示会で感じたこと

インナーアパレル2019春夏物展示会のトリを飾るように、トリンプ・インターナショナル・ジャパンが展示会を開催した。

「展示会」といっても、百貨店など小売店バイヤー向けではなく、対象はあくまでプレス関係者。その中でもファッション媒体など一般消費者に近いプレスに幅広く、トリンプの存在とコレクションの内容をPRしたいというわけであろう。

 

業者向けのこれまでの展示会とは異なり、同社の商品構成の中でもかなり絞り込んだかたちで代表的なブランドを見せていたのが特徴だ。

感想をひと言でいうと、国内インナーアパレルの他社にはないユニークなもの、言い方を変えると、グローバルトレンドの要素がちりばめられて、とても興味深かった。

日本市場の伝統性も視野に入れながら、ブラジャーの多様性、キャミソールやスリップも伝統的なそれとは異なる新鮮なスタイルが見られた。

それだけに、そのコレクションはやはり百貨店バイヤーなど小売関係者もぜひ見てほしかったと思うのだ。

 

最近の展示会は全般に、同社のように取引関係者ではなくプレス関係者のみに対象を絞ったもの、プレスといってもブロガーやインフルエンサーなどどちらかというと一般ユーザーに近い人たちを意識したものと、従来のそれとはだいぶ様子が変わってきた。BtoBからBtoCへの流れである。

取引関係者を幅広く迎えている大手も、情報開示やそのタイミングに関して規制が厳しくなっている。

そのすべてはインターネット時代がもたらした変化によるものだが、古参プレスの立場としては、複雑な思いがある。

ジャーナリストとしてすべきこと、発信していくべきことは何か。しかも仕事として成立させていくにはどうしたらいいか。仕組みを再考する時期に来ている。