武田 尚子
独自の強みを表明したワコール展示会
大型連休明けの今週、渋谷ヒカリエで、㈱ワコール卸売事業本部の2019秋冬新商品展示会が開かれた。
年に2度、ワコールブランド、ウイングブランドをはじめ、直営部隊をのぞくオールワコールの全体像が拝見できる貴重な機会だ。ウエルネス(スポーツ)、パーソナルウエア(ナイトウエア)やグッドエイジ(シニア)、ファミリーウエア(マタニティやベビー、キッズ)、メンズインナー、水着、レッグ関係、さらにオムニチャネル戦略(3Dボディスキャナーなど)まで、同社の取り組みが一堂に凝縮されている。
ブランドもそれぞれのプロモーション戦略も多様化しているために、ひと言ではとても語れないが、今回は全体を通し、ワコールの強みというものを再認識して強化するという姿勢が明確に表明されていたように思う。
まず、会場正面で来場者を迎えていたのは、「トレフル」のディスプレイ。
百貨店をベースにしたプレイステージブランドの強化と共に、歴史ある「トレフル」を通して、同社ならではの徹底したモノづくりへのこだわりを強く訴求していた。まさに「トレフル」は、同社伝統の顔といえるブランドだ。
基幹アイテムであるブラジャーについては、ソフトで楽なもの(サイズ展開もSML)がもてはやされている市場動向の中でも、同社が掲げる“より美しく”のもとに、バストメイクや造形性を今一度見直そうという意気込みが感じられた。
その代表といえるのが、パーソナライズ対応の象徴的存在であるサイズオーダーブランド「デューブルベ」であり、ワコール市場最高メイクの補整機能グループとしてデビューする「リュックスボーテ」(写真下)だ。
着心地の楽なアイテムとして人気が定着している、接着技術活用のフラットな「GOCOCi」でさえも、バストシルエットを美しく見せるブラジャータイプを発売している。
6月発売の「スハダハーフ」は、ワイヤーなしのストラップレスブラ。ストラップレスブラの新商品は久々ではないだろうか。
加えて、今回の展示会で新鮮だったのは、秋冬物の中でも、ジャストシーズンである夏対策の商品の紹介をしていたこと。昨年の酷暑をふまえた各種機能商品が来場者の目を引いていた。