武田 尚子
トリンプはガードルで体型補整強化
トリンプ・インターナショナル・ジャパンの2019秋冬展示会が、恵比寿ガーデンホールで開かれた。
1886創業からのブランドストーリーを紹介する小部屋を出て、会場正面に大きくステージが設けられていたのは、シェイプウエアの新シリーズ「ファッションシェイプ」。
特に今シーズンの主力商品として打ち出されていた「美トレヒップ」は、ヒップと太ももの境目のたわみをパワー力の強い幅広パーツで下から持ち上げて、立体的なヒップラインを作るという、日本女性の悩みであるヒップに特化したガードルだ。これは、一枚の生地でパワー強弱の切り替えを可能にした日本の技術を採用したもので、陰影のある花柄のオパールプリントもスタイリッシュな雰囲気にあふれている。
会場を中に進むと、ロングセラーの「天使のブラ」や「恋するブラ」、百貨店で着実に売り上げを伸ばしている「フロラーレ」や、ヨーロッパのトレンドを盛り込んだプレミアムブランド「ヴァリゼール」、ファンデーションメーカーの強みを発揮したスポーツインナー「トライアクション」、そして独立した複合的ブランドとしてさらなる充実を見せている「スローギー」の各ラインがずらりと紹介されていた。
「『トリンプ』ブランドの価値を上げていくための取り組みを進めています」と話すのは、同社のヴァンサン・ネリアス代表取締役社長。
「大丸東京店など百貨店のインショップで最近オープンした店では、あまり商品を多く見せすぎないような売り場づくりを心がけ、全体を通して低価格帯の商品も整理しました。また、お客様にブランドの魅力を伝える販売スタッフの教育にも力を入れています」
現体制になって数シーズンを経て、トリンプならではのグローバルな商品開発力と、日本市場半世紀以上の実績を背景にしたローカルマーケティング力のバランスが、いいかたちで整いつつあるように感じた。
快適性やラクな着け心地がもてはやされているインナーウエア市場だが、ワコール、トリンプと大手インナーアパレルの展示会が終了した段階で見えてきたのは、体型補整機能という原点への回帰傾向。快適性への要求が落ちることはないが、この2019秋冬シーズンは業界や市場全体として体型補整への適度な揺り戻しがあるととらえてもいいのではないだろうか。