武田 尚子
魅力的な新世代ブランド
量産志向、拡大志向でないことは言うまでもなく、従来のランジェリーとは一線を画した独自のやり方で、地道にファンを広げている新世代ブランド。その中でも、作り手自身の魅力も含めて注目される2ブランドの展示会が今日6日まで東京で開かれている。
一つは、ミレニアル世代の女性デュオによる企画オフィス・XYによって、2016年にスタートした「Albage Lingerie(アルバージェ・ランジェリー)」。
2019春夏のテーマは、“流転 ―The cycle of birth and death―”。まさに生と死をテーマにしたもので、二人の生き方や決意のようなものが込められているともいえる。
ビジュアルの写真は、デザイナーの高崎さん自身が撮影したもの。今回のテーマの着想源である横山大観「生々流転」の墨絵の雰囲気や、日本的な妖艶さも感じさせる。
透ける素材や背中が大きく開いた服に合わせやすいヌードカラーのパッド付ボディ(肌に優しい天竺・コットンモダール)と、透け感のあるパワーネットのバイカラーによるエレガントなフルカップブラ&ショーツ。
同ブランドは様々な分野のクリエイターとのコラボを積極的に行っているが、今回はフレグランスブランド「IZUIMI KAN」とのコラボによって、オリジナルのランジェリーフレグランス「SHOJO/RUTEN」を制作。ランジェリー購入者に数量限定のノベルティとしてつけている。
デザイナーで代表取締役の高崎聖渚さん(右)と、副社長の織田愛美さん。
もう一つのブランドは、2014年にビスポークランジェリーとしてスタートした「Chiyono Anne(チヨノ・アン)」。一人ひとりの体に合わせて作るオーダーとは別に、最近は既製のコレクションラインも随時発表しているが、今回は南イタリアのカプリ島をテーマに、明るい陽光を感じさせる健康的な雰囲気に満ちている。
カプリ島の透き通る海をイメージしたエメラルドグリーン。フランス製リバーレースを日本国内で染色。
カプリ島のシンボルとして知られる青の洞窟のアーチ(丸い曲線)をモチーフに取り入れている。大きなサイズも登場(写真左上のブラジャー)。
グリーン、レモンイエロー、ピンクと、ランジェリーと同じカラーを軸に、スイムウエア(イギリス製UVカットポリエステル)も初登場。
シルクを中心とするオーダーのビスポークラインには、ラウンジウエアやメンズも。真の贅沢を求める人たちに好評。
デザイナーのイエガ―千代乃・アンさん。
それぞれにテイストの違う2ブランドだが、そこに共通する魅力とは何か。それは、共にモノの背景に思想があるということだろう。