武田 尚子

2019 04 Nov

造形性見直しの時機

近年、ブラジャーは、ノンワイヤーやブラレットタイプ、あるいは接着技術を使用したカップ一体型のヒットの影響もあって、快適性を重視した楽な着け心地の人気が続いている。ブラジャーの選択肢を広げたとも、新しいスタンダードを作ったともいえる動きだが、ここにきてより体型補整や造形機能を意識した企画が目につくようになってきた。

接着技術のフラットなタイプでさえ、サポート力をアップさせたものやバストの造形性を強めた新タイプが発売されている。

 

このファンデーション回帰を象徴するような新商品が、ワコールの「リュックスボーテ」(11月上旬から全国百貨店を中心に発売)で、「ワコール史上最高のメイク力を叶える新しい補整ランジェリー」とうたわれている。

女性がブラジャーの造形性に求める 3大ニーズに合わせた3タイプのブラジャー、“着やせシルエット”“谷間メイク”“デコルテアップ”を軸に展開。いずれのタイプも、脇が高い計でサイドをすっきりさせながら、メイクされたバストを高い位置でしっかりキープできる機能を持っている。

 

すべての女性がブラジャーに解放感のある楽な着け心地を求めているわけではないし、着る服やシーンによっては、しっかりしたバストメイクも必要というわけで、そもそも対極のものは常に共存している。

また、ブラジャー全体のトレンドからしても、多少揺り戻しの時期に来ているといっていい。

これはアウターウエアとの関連性も大きい。リラックス感のあるシルエットがまだ主流の中で、体のラインがくっきり目立つような服が多いわけではないが、ファッションあるいは女性の気持ちに、微妙な変化があらわれてきているような気がする。