武田 尚子
足に特化した企業コンソーシアム
「足ビジネスアイディアハッカソン」記者発表なるものに参加した。場所は、下北沢にある「下北沢病院」。
なぜ興味を持ったかというと、「足」というところにある。私自身、ここ数年、足の爪の故障に悩まされていることもあるし、足は健康の要であると実感していたからだ。この記者発表のさわりの部分を写真数枚で直後にFacebookで紹介したところ、比較的高齢者(失礼!)を中心にリアクションがあったことからも、その潜在需要の大きさが予想される。外反母趾で悩む女性も少なくないはずだ。
歯科医の数と等しい15,000人の足病医がいるという北米に対し、日本では未開拓の分野だが、人生100年時代、高齢化社会や糖尿病の不安を背景に、日本でも足に関する関心は高まっている。
日本唯一の足専門病院という下北沢病院(医療法人社団青泉会)は、足病先端医療センターの役割を担い、従来のタテ割医療ではなく、多職種医療チームによる集学的治療を行っている。足病健診や再生医療と共に、足病先端医療センターの一つの柱に据えているのが、この「足ビジネスハッカソン」。
同病院を中心に、さまざまな企業や団体が足関連の商品開発や事業創造をすることで、「フットフレイル」(足から始まる身体の衰え)をフットケアで食い止め、予防や未病によって健康寿命を延ばすことができれば、増加する社会保障費を抑え、ひいては持続可能な社会につながるというわけだ。下写真は、下北沢病院・久道勝也理事長。
足ビジネスアイディアハッカソン実行委員会は、有志による任意団体で、現在のメンバーは計16社で、さらに幅広い業種の参加を募っている。兼業・副業とも異なる第三の働き方として、多業種の有志が勤務時間外で1~2か月に1度集まり、アイデアを出し合うなど情報交換しながらも、本業にフィードバックすることをルールとしている。
現在8商品が稼働している中で、具体的な商品事例として同日に紹介されたのは、シューズ2例とストッキングの合計3社の例。
シューズは母趾部分にかかる負担を軽減する中敷きを搭載した「ライフウォーカー ボシサポート」(アシックス)と、アメリカ生まれのリカバリーサンダル「TELIC」(フェローズ)。そしてストッキングはグンゼによるもので、日常的に「はく」ことで足の悩みを解決に導く婦人用レッグウエアの新ブランド「HAQCARE」(2019年3月発売)の説明があった(グンゼ㈱企画開発部・奥田洋一部長)
「HAQCARE(ハクケア)」は、高機能すべり止め付きストッキング(足底の接地面に施した新技術のシリコンドットプリントが、ストッキングと靴、肌の両方のすべりを抑え、ヒール着用時も歩きやすくする)と、アーチサポートひざ下ストッキング(足底部分に弾性フィルムをプリントして伸縮を抑え、土踏まずを押し上げる設計)をはじめ、下北沢病院監修のもとで女性の足の悩みに答えたレッグウエアを幅広く展開していく計画。より多くの着用層を狙った、リーズナブルな価格設定となっている。
病院との連携による商品開発は、大きな市場の可能性があることは間違いない。