武田 尚子
ランジェリーのポップアップストア
ゴールデンウィーク前半にかけて、伊勢丹新宿店ではランジェリーのポップアップストアがいくつか開かれている。ここに紹介するのは、いずれも5月1日まで。
ポップアップストアというには大がかりなイベントだが、3階センターパーク/ザ・ステージ#3で開かれているのが130年以上の歴史を誇るスイス生まれのアンダーウエアブランド「ハンロ」の期間限定売り場。昨年、一昨年はラウンジウエアの世界を紹介することに力が注がれていたが、今回は原点に帰ってベーシックな肌着アイテムを主軸にしている。
同ブランドのパッケージをつなげて作成された印象的なファサードを入ると、コットンのキャミソール「コットンシームレス」や、ブラキャミソール「アリュール」といった人気の定番がずらり。前者は三越伊勢丹グループ向けの限定色3色(さわやかなグリーン、肌に溶け込むピンク、濃色のネイビー)、後者は代官山セレクトショップ「メゾンドリーファー」とのコラボによる褐色系2色(ヘーゼルナッツとトフィー)も目玉となっている。さらに初めての試みとして、会場にはミシンが設置され、購入者を対象にしたイニシャル刺しゅうのサービスを実施。母の日に向けたギフト需要も盛り上げている。
ランジェリー売り場「マ・ランジェリー」の正面では、世界からセレクトしたブランドで最新トレンドを紹介する「ランジェリープラス」によるポップアップのコーナーが目を引く。テーマは”Say Yes to new adventures and new Lingeries!”。70年代のディスコシーンをイメージしたディスプレイの中に、「Marika Vera」(メキシコ)、「Les jupons de Tess」(フランス)、「LE PETIT TROU」(ポーランド)、日本からは「MEMAI」「AKIKO OGAWA. Lingerie」の計5ブランドがラインナップされている。
その横では、ビスポークランジェリーブランド「Chiyono Anne」から誕生したばかりの、デイリーユースのベーシック既製ライン 「CA by Chiyono Anne」 が紹介されている。 アトリエで1点1点手作業で作られるシルクなどのビスポークラインとはまた別に、幅広い層に向けて毎日心地よく着用できるランジェリーをという願いのもと、工場での量産を図ったもの。各アイテムとも、肌にやさしい滑らかで柔らかなジャージー素材に、デザイナー自身が手描きで描き下ろしたというちょっと懐かしい雰囲気の刺しゅうが施されている。
伊勢丹新宿店をはじめ、最近、百貨店ではこのようなポップアップストアのスタイルで新しいブランドを積極的に紹介する動きが盛んだ。ブランド側にとっても期間中の売り上げに限らず、各ウエブへの波及力、またブランドPRの意味合いも含めて、多面的な情報発信の場となっている。新しいものを求めて百貨店に足を運ぶお客にとっても、未知のランジェリーの発見と出会いの機会になればと願う。