武田 尚子

2018 26 May

代官山蔦屋書店でランジェリー

今や東京の人気スポットとして定着している代官山蔦屋書店で、国内ランジェリーブランド「ランジェリーク」がポップアップショップを開いている(場所は2号館中央ポップアップスペース)。

百貨店などファッション関連の商業施設ではなく、書店とランジェリーという組み合わせは意外性があるが、同店の環境にしっくり溶け込んでいた。

そもそも「ランジェリーク」を展開するカドリールインターナショナルの拠点は、同店の至近距離にあって、以前から少しずつ交流があったという。

蔦屋書店は分野ごとの担当であるコンシェルジュが、売り場でのフェアやイベントも企画するという体制になっていて、今回のポップアップは雑誌担当コンシェルジュが興味を持ったことによって実現した。

 

「ランジェリーク」としては、幅広い客層にブランドを紹介する絶好の機会ととらえて、約半年前から打ち合わせを重ね、準備をしてきたという。

ブランドの世界やコンセプトを伝えるために、このフェアのために作り込んだのが、ユニセックスの限定Tシャツ。希少な編機で編みたてた上質な綿フリース素材に、フランスのリバーレースが美しい重なりであしらわれている。

加えて、メキシコの建築家、ルイス・バラカンをテーマにした最新コレクションのカタログや、ブランドの背景や商品内容を伝えるペーパーなども置かれていた。

ブラジャーやショーツはボックスのパッケージに入れ、昨年同社が開発した回転式什器と共に、さりげなく紹介されていた。

 

書店という業態の店頭でこういったフェアを実現させた両者に敬意を表したいが、やや残念に感じたのは、ランジェリーにまつわるモードやレースといった切り口での、同店らしい選書にあまり力が入れられていなかったこと。雑誌のカテゴリーの限界や、洋書仕入れの難しさもあったのかもしれない。

日本はこの分野においてはどうしても実用的な書籍や情報優先の雑誌が中心で、文化的歴史的な考察をしたクオリティの高いものが少ないことも背景にある。

物書きの端くれとしては、改めて感じるところがあった。

 

614日まで約1か月の開催となっている。