武田 尚子
渋谷パルコ「アルバージェ」の店舗
“すべての女性に幸せな選択肢を”をモットーにした㈱XYの「アルバージェランジェリー」の店舗が、昨秋リニューアルした渋谷パルコに、2月にオープンしてから1か月が経った。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言中とはいえ、取材に出向いたこの日も渋谷駅から公園通りにかけて、若い人を中心とする人出は少なくなく、渋谷というのはエネルギーのある街だとつくづく感じた。
さて、今回の新店舗は、新進気鋭ブランドのインキュベーションを意図する3階の編集型売場、GEYSER PARCO内に位置するもので、8月末までの期間限定だが、反響によっては期間延長やレギュラー売場展開の可能性もあるという。
店内デザインやディスプレイなどはすべてブランド側に任され、「アルバージェランジェリー」の世界を表現した自由な売り場づくりを行っている。
新しいコレクションのイメージ映像が流れるソファエリアでは、デザイナーのインスピレーション源となっている画集などが置かれ、ゆっくりくつろげる環境が作られている一方、ショッピングエリアでは同ブランドの全ラインが見られるようになっている。
ジェンダーフリーのフロア構成を特徴にした同館の中で、同店も男女カップルでも男性同士でも気軽に来店してランジェリーが楽しめる、居心地の良さが特徴だ。
ソファエリアの右側にはフィッティングルーム
2016年に2人の女性でスタートした㈱XYは、社会問題への取り組みにも積極的な姿勢を見せている。精密機械メーカー・リコーによるインドでの女性下着、「ランゴリー」の商品企画を担当していることにも象徴される。
「アルバージェ」ブランドにおいては、「Lingerie for Education」プロジェクトに参加。2020秋冬物の売り上げの一部が、東京善意銀行を通じ、経血吸水型ショーツ(「period.」製)の配布というかたちをとって、都内の児童養護施設のティーンエイジャーたちに寄付される。
そういう理念に共鳴して広がるブランドファンを、代表取締役の織田さんは「戦友」と呼ぶ。
決して異なる考え方を排斥するような思想ではなく、「自由な価値観で自分らしく生きていく」ことが連帯感を生んでいるといえる。