武田 尚子

2020 03 Mar

接着加工技術がさらに進化

シームレス、つまり無縫製という流れは、インナーウエアにとっての長期的な方向性だ。

その代表的なイノベーションが接着加工(ボンディング)であり、近年のグローバルなトレンドの一つとなっている。

単に機能性や合理性の追求にとどまらず、「パリ国際ランジェリー展」ではラグジュアリーでクリエイティブなコレクションも目にすることができる。

「EXPOSED」のメンバーとして出展から3年が経過する「RUBAN NOIR(リュバン・ノワール)」は、デザイナーのステファニーさんが現代アートからインスピレーションを受けてつくる、モダニティあふれるフランスブランド。軽量なポリエステルストレッチ素材(Oeko-Tex認証済)がレーザーカットで裁断され、熱加工によってさまざまに形作られる。装飾も自由。つまりミシンによる縫製がないのだ(生産拠点はリヨン)。

従来の伝統的なランジェリーとはまったく異なる発想と物づくりなので、一見すると奇異にも感じられるが、実は非常にシンプルであり、また時にはスポーツウエアとして、時にはパーティドレスとしてと、着る人によって自由に着こなせるのが特徴となっている。

「当初は非常にアヴァンギャルドという受け止め方をされたが、この3年でバイヤーの意識が大きく変わり、今では実際に発注してくれる人が増えた」と、ステファニーさん。アーティストらしいピュアで飾らない人柄が魅力だ。

 

今回はデザインバリエーションがさらに充実

ブランド名にもなっている「黒いリボン」のついたロングガードル型のパンツ。茶目っ気たっぷりのディテールがいい

 

一方、接着加工の分野におけるリーディングカンパニーであるユタックス(本社・兵庫県西脇市)は、同素材展「アンテルフィリエール・パリ」で、これまでの接着技術をさらに推し進めた次なる提案を行っていた。

「ワイヤーの代用となる3Dプリント」として注目を浴びていた新しい技術。液体の接着剤(シリコンではなくウレタン)をドット状に塗る技術、生地と生地とをくっつける技術は、多様な用途に活用できるとしている。

 

肌当たりが優しく、カラフルなフックアイテープの提案も。

 

デザインと機能の両面で、今後もさらなる発展が見込める分野といえる。