進士 恵理子
フリマアプリが実現する循環型社会

クローズアップ現代+(2017年12月12日放送)で取り上げられていたテーマ「中古品アプリで消費が激変!? 〜メルカリの衝撃〜」は、ちょうど最近の自分自身の購買活動に近いものを感じたのでここで取り上げたいと思う。
私はドイツ、ベルリンに住んでいるが、やはりこちらでも中古品を個人間で売買することはスマホのアプリの関与でより簡単に商品サーチができコミュニケーションもスムーズになっていると感じる。ebay kleineanzeigeを使っているが、次々と必要になってくる子供用品を中心に購入している。子供の月齢によって必要な季節物を全て揃えていたら破綻しかねない。そこで親たちはebay kleineanzeigeで子供服や靴、時にはおもちゃなどを探すのだが、売り手の方も一気に手放した方が効率的なため例えば「サイズ104cm/110cm 女の子のシャツ10枚セット」などと打ちパッケージ売りしている人も少なくない。そして循環している。
そもそも私たちの中で中古品に対する抵抗感は一昔より薄れているという。古着であっても「安くてお得」「レンタル感覚」で次々と物品を購入している若年層が多いというのがこの番組での見解だ。
安く、たくさんの商品を手にできる中古品消費は、消費者意識をドラマチックに変えている。購入することも簡単であるが、手放すことも簡単でありその時々に必要なものを買い、不要になったら売るという20代女子は賢いと言える。放送には週に一度は購入、販売をして「インスタ映え」する自分を作り上げているという。
これまでのネットオークションと違って、一対一の関係がチャット形式で築かれ数回のコメントで取引が成立する。支払いはメルカリが代行しているようだが、ebay kleineanzeigeは銀行振込でも、Paypalでもまた直接あって支払いや時には試着や機能をたしかめることができる。私が10€でソニーのCDプレーヤーを買った時は売り手は引っ越しを翌日に控えていたため、発送準備はできないからと直接取りに来て、と言われた。こちらとしても本当に機械が動くかぐらい確かめてお金を払いたい。
これまでなかった「不要物を循環させることができる」ことは消費者にとって無駄な出費を省き、タンスや物置の肥やしをなくしていくことになる。そして新品を買う際にも「安かろう悪かろう」の物品は自然淘汰されていくのではないかと思う。私たちは中古品を他者に販売することが可能になった今、粗悪品の使い捨ての無意味さが目の当たりになった時代に生きようとしている。
新しいものを作らせない、ことこそが環境を考えた時に正しい答えで、消費者の「着飾りたい」「おしゃれに見えたい」を我慢することではない。だから中古が循環する社会は環境と消費者の懐に優しいと言える。この循環型社会の基盤を支えるビジネスにはお金を使っていきたいし、オンラインでもオフラインでも盛り上がってほしいと思うのだ。