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「ルイ・ヴィトン」2022クルーズコレクション 抑制を効かせながら自由奔放で天衣無縫なクリエーション
メンズコレクション発表前のタイミングで、2022クルーズコレクションを発表したニコラ・ジェスキエールによる「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」。パリから北西へ行った郊外の街、セルジー・ポントワーズに位置するアックス・マジュールにて撮影した無観客ショーのムービーを同日公開した。
アックス・マジュールは、イスラエルの彫刻家、ダニ・カラヴァンによる全長3.2kmにも及ぶ壮大なモニュメント作品で、現在は公園として市民に利用されている。石、砂、コンクリート、金属で構成される造形物は時代を超越した、どこか未来的な印象で、それが本コレクションと呼応し見事な調和を見せていた。
クレージュをほうふつとさせるビニールコーティング素材、伝統的な織をモダンにアレンジしたブロケード、ダイビングウェアを思わせるウレタン素材など、様々なファブリックをコラージュのようにミックス。さらに、スポーティなリュックサックストラップやゴールドのノット、ビーズで埋め尽くされたビジューチェーンなどでデコレーションし、我々の想像を超える、正に未知のファッションを創造。60年代のフューチャリズムやサイケデリックムーブメント、マニッシュなスモーキング、鼓笛隊のユニフォームのような華やかかつ威厳のあるコスチューム、ミリタリーウェア、スポーツウェアなど、様々な要素と時代感が絶妙なバランスで散りばめられ、用意周到に再構成されている。
エッジーで無機質でありながら、オプティミスティックで有機的。相反する感覚が交錯する中、今季は楽しい雰囲気をも漂わせる。「ルイ・ヴィトン」におけるニコラ・ジェスキエールの、抑制を効かせながらも自由奔放で天衣無縫なクリエーションを強く印象付けるコレクションとなった。
文:清水友顕
■「ルイ・ヴィトン」2022クルーズコレクション