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「コトハヨコザワ」が毎日ファッション大賞授賞式でトークショー
「コトハヨコザワ(kotohayokozawa)」が2020年(第38回)毎日ファッション大賞で新人賞・資生堂奨励賞を受賞。2020年11月18日に行った授賞式では、デザイナー、横澤琴葉がテキストレーター、はらだ有彩を特別ゲストに迎え、「コトハヨコザワ」のコンセプトやそれぞれのライフスタイルをテーマにトークショーを行った。
終始リラックスした雰囲気で行われたこのトークショーは、横澤がはらだの著書である「日本のヤバイ女の子」からコレクションのインスピレーションを得たことがきっかけで実現した。女性であること、現代に生まれたことなど、悩みの尽きない世界に生きている読者に、自由でポジティブな言葉を投げかけてくれるこの著書は横澤のクリエーションに深く共鳴した。
一人のフェミニストとして、性別における既存のレギュレーションを壊すことを目標に著書を出版しているというはらだは、横澤と直接会うのは実に2年ぶりだという。変化の激しいこの2020年、二人の心境や思想にも当然変化が生まれたようだ。「自分の生活があってこその自分たちのクリエーションがある。今年は特に自宅とその周囲の空間で過ごすことが増えた。今回のプレゼンテーションでのモデルのスタイリングは、自分の近所で見かけた生活感や隙のある人をモチーフにしている」と横澤は話す。
また格好つけるのが苦手という横澤の、自身のブランドの服を自由に着て欲しいという包括的な姿勢は、はらだのフェミニズムとファッションの関係性に対する考え方にも影響をあたえた。それについて、はらだは「横澤さんの作る服は、別に何と合わせてもよくないですか、と彼女に言ってもらっている気分になる。女性性は着ない、でも女性ではないとは言ってない。フェミニズムを体現するためには女性性を排除する必要はない」と確かな口調で語った。着る人が異なればスタイリングの見え方も異なる。多様性に関するムーブメントへの共感が高まるなか、これからのファッションを心地よいものにする鍵となるのは、社会的なレギュレーションに対して最初からファイティングポーズを取らない「コトハヨコザワ」のような服なのかもしれない。
このトークショーの終わりに横澤は「どうすればブランドを通じて心地よさを提供することができるのかを常に考えている。月単位で価値観が変わっていく現代社会で、それらを受け入れると同時に、素直に自分の意見を服として残していく。生きることが面倒だと思う時もあるが、また明日からも各々好きな服を着て成功失敗を繰り返していければと思う」と締め括った。