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2021 09 Apr

「ベルルッティ」が2021ウィンター コレクション発表

 

 「ベルルッティ(Berluti)」は、 2021年4月8日13:30(仏現地時間)2021 ウィンターコレクションを、パリではデジタル、上海では観客を伴ってのパフォーマンスアートのインスタレーションで発表した。1月のパリメンズコレクション中にティーザー映像が発表され、3月に本発表される予定だったものがこの度の発表となった。

 

 テーマは「Living Apart Together」。映像ではソーシャルディスタンスを示すフロアサインを舞台美術に取り入れながら、束縛された中にある物理的なものではなく、意識上の自由の感覚を振付で表現し、ボーダーを超えることを象徴的に表わす。

 

 前回の陶芸家のブライアン・ロシュフォールに続き、今回はアーティストのレブ・ケージンをインスピレーション源として彼の技法と色やテクスチャーを取り入れている。極めて立体的なケージンの芸術表現が形や触れることのできるリアリティへの要求へとつながる。そして、彼のシリコンペイントを何層にも重ねた抽象の立体作品のイメージは、「ベルルッティ」のシンボル的着色製法、パティーヌとオーバーラップし、ハンドメイドによる染めと色落ち加工で仕上げたレザージャケットやハンドステッチ入りのコート、スクエアトゥのブローグやパティーヌレザーのスニーカーで具現化される。

 そして、ケージンが好んで使うカラーパレットが、グラデーションを生かしたマルチカラーのテーラードスーツやシャツ、タートルネックやモヘアのセーターなど多くのアイテムで登場する。手織りのレザー素材で仕立てたフード付きジャケットやプルオーバーにもケージンの視覚的世界が展開。オレンジ、スカイブルー、パープルなどの鮮やかな色も差し込まれる。

 

 一方、靴の製法として最高級の職人技とされるノルウィージャンステッチのモチーフを、キルトレザージャケットのパイピングやレザースーツのトリミング、パッド入りダウンコートなどのアウターウエアやスーツに施しているのも特徴的だ。

 シルエットはアンコンで、ダブルフェースのカシミアを多くのアイテムで使った心地よい仕上がりになっている。ワークやスポーツのテイストも入れ込んだカジュアルでリラックスした雰囲気が流れる。

 アクセサリーは、「ベルルッティ」のシグネチャー、シューツリーや、スペイン出身のアーティスト、ホルヘ・ペナデスがデザインしたマルチカラーのペンダントのモチーフをチャームとしてあしらったバッグが。またダービーシューズで採用したアップサイクルによる三層のプラットフォームソールをはじめ、クラシックなレザーシューズのデザインに合せて変形させたテクスチャード加工のウレタン・プラットフォームソールのシューズが登場。

 

 老舗ブランドらしい職人技のきいたモノづくりと、新進アーティストからのインスピレーションの華麗なる融合。「ベルルッティ」らしい魅力がモダンに昇華されたコレクションとなった。

文:田中美貴

「ベルルッティ」2021ウィンターコレクション