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2020 07 Nov

「ジェニーファックス」新宿の老舗北京料理店でVRプレゼンテーションを開催

 

 「ジェニーファックス(JennyFax)」は2020年11月6日、東京・新宿にある老舗北京料理店の随園別館で、2021春夏コレクションをVRプレゼンテーション形式で発表した。

 

 今回のVR形式で発表をするにあたり、NTTラーニングシステムズと提携し完全アポイント制で行われた「ジェニーファックス」2021年春夏コレクション。同会場の一室の円卓には、北京料理ではなくヘッドマウントディスプレイが並び、独特なリフレインのテクノミュージックが鳴り響く。若干のカオティックな雰囲気に包まれながらVRに関する簡単な説明を受けた後、ヘッドマウントディスプレイを装着することでショーはスタートした。

 VRの映像作品は全て同室内で撮影したもので、来場者たちが座っている目の前で「ジェニーファックス」のロマンティックなコレクションピースに身を包んだモデルたちが円卓の周りを颯爽と歩く。鑑賞者の頭の動きと映像内の視点は連動しており、フィジカルなショーと同じようにルックの様々な部分にフォーカスすることができる。また、ほとんど等身大であることも他のデジタル形式とは異なる部分だ。肩のラインがデフォルメされた立体的なシャツやワンピース、ルーズソックスのようなテクスチャーのブーツ、デコラティブなリボンの付いたアームカバーやヘアメイクの数々がシーズン毎に安定感を増すブランドらしさを演出していた。

 VRの最大のメリットは展示スペースや会場など、場所の制約を受けない点にあるが、今回のコレクションにおいては時間の制約も受けずに済むという捉え方もできる。撮影場所と同じ場所で、違う時間に何度も追体験できるというショー開催における一回性の排除と効率の良さは、ユニークで意外性のあるプレゼンテーションを可能にした。こうしたVR形式でコレクションを発表するというのはパンデミック以前から行われてはいたが、特にパンデミック以後はショーの発表形式に関する関心が高まっており、より目新しい“何か”が求められていると感じる。決して真新しくはないVRの活用方法や可能性について、より複合的に考えるきっかけとなるコレクションであった。

 また同コレクションの2D版の映像作品は、現在YouTubeで公開中。VRでファッション体験は今後のコレクションシーンにどのような変化をもたらすのか、動向に注目したい。

 

「ジェニーファックス」2021春夏コレクション

 

 

「ジェニーファックス」公式サイト