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2020 16 Dec

「サンローラン」2021春夏ウィメンズコレクションショーをオンラインで発表

 「サンローラン(SAINT LAURENT)」が2020年12月15日、ウイメンズの2021春夏コレクションをオンラインで発表した。「サンローラン」は2021春夏シーズンのパリファッションウィークには参加せず、独自のカレンダーのもとコレクションを発表していくことをアナウンスしており、このタイミングでの公開となった。

 ティザームービーではエレクトリカルな光の中でサボテンが成長しているような映像が繰り広げられていたが、コレクションの舞台は一転して白い広大な砂漠。その砂の動きに合わせたような長いランウェイをモデルたちが歩く。

 このコレクションの核になるのは、今のような不確かな時代において、自分らしく心地よく、自信を与えてくれると同時に希望と新しい情熱を与える服だ。クリエイティブディレクターのアンソニー・ヴァカレロにとってのこのコレクションの原点となったのが、60年代後半のアーカイブから発見された厚いジャージー素材。体を締め付けることのなく、ボディラインを強調するこの素材が、ゆったり心地よくありながら、自分への本質へと迫る様子を表しているかのようだ。またロケーションとして選んだ砂漠は、静けさ、オープンスペース、ゆっくりとしたリズムへの憧れを象徴しているという。

 コレクションピースは、セットアップのパンツスーツやコートドレスなど、フォルム自体はかっちりとして体にフィットしているが、ジャージー素材によって柔らかく動きやすく仕上がっている。またはパワージャケットやトレンチコートなどクラシックなアイテムにはボクサーレギンスやランジェリー風のショーツを合わせることで、部屋着のような雰囲気を醸し出す。またマラブーフリンジのフラワーモチーフのシフォンドレスやラグラン袖のドレスなども軽快な快適さを感じさせる。

 そんな中に透け感のあるブラウス、部分的に使われたフェザーやファーやフリルなどのディテールでフェミニンなイメージを加え、フランス人アーティスト、故クロード・ラランヌのデザインによるインパクトのあるジュエリーも、スペシャルな雰囲気を与える。

 カラーパレットは白い砂と対照的に映える黒をメインにする一方で、砂に溶け込むようなサンドカラーやゴールド、そしてプリントやブロケードでフラワーモチーフも差し込まれる。

 終盤では、日の暮れた砂漠の中、炎がランウェイを導くような演出。そして最後に現れる「I Wish You Were Here(ここにあなたがいればいいのに)」という文字。これはソーシャルディスタンスを強いられている現在を物語り、砂漠の中を一人歩くモデルたちの姿ともオーバーラップする。そんな現在に寄り添うような、自分という本質を探るようなコレクションだった。

文:田中美貴

「サンローラン」2021春夏コレクション

 

「サンローラン」公式サイト