中国のブランドアンバサダー、タン・ジュオ

　
　「フェンディ（FENDI）」は2021年3月19日、2021春夏クチュールコレクションを中国・上海で発表した。同コレクションは1月のパリ・ファッションウィークに引き続き、アーティスティック ディレクターのキム・ジョーンズによるもので、ショー会場には希少本と手書きの原稿が展示された。

　今シーズンは、小説家のヴァージニア・ウルフが詩人のヴィタ・サックヴィル・ウェストに宛てたラブレターともいえる小説「オーランドー（Orlando）」が中心的なモチーフとなった。「フェンディ」の創立から3年後の1928年に発表された同小説の文学的奇想が、あるときはボクシーなメタル製のブック型クラッチとして、またあるときはマザーオブパールのミノディエールやレザーブーツに込められたクォートとしてコレクション全体に散りばめられた。

　ショー会場にはウルフ夫妻により刊行されたマーブル巻きの本も展示された。また作曲家でピアニストのマックス・リヒターによる音楽が流れるなか、ヴァージニアとヴィタの数十年におよぶ交際期間中に交わされた手紙の抜粋が、フェンディ家の人々とその友人たちによって朗読された。

　ジャカード織りのシルクのガウンや手作業でビーズを施したテイラーリングから見て取れるように、マーブル柄は今シーズンにおける視覚言語の主要な要素とされる。また、ヴィンテージバッグのベルベットリボンは新たなデザインに置き換えられ、カール・ラガーフェルドの最後のコレクションから受け継いだ「カーリグラフィ（Karligraphy）」モノグラムはビーズ刺繍でブーツに飾りつけられるなど、「フェンディ」というメゾンの歴史も主要なソースとして随所に見受けられた。

　さらに今回のショーには、中国のブランドアンバサダー、タン・ジュオをはじめ、チャオ・タオ、セシリア・チャン、ドゥ・ジュアン、リウ・ダン、シャオ・ウェン・ジュ、ジン・ダチュアンなど、「フェンディ」と縁のある顔ぶれがキャストに加わった。そのほかには中国のブランドスポークスパーソンを務めるヴィッキー・チャオ、同レザーグッズスポークスパーソンのチャン・ルオユン、女優のスー・チーなど多数のゲストが集まり、メゾンの新たなスタートを目撃した。

■「フェンディ」2021春夏クチュールコレクション

■「フェンディ」公式サイト