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2021 16 Apr

「グッチ」がAria コレクションを発表


Courtesy of Gucci

 

 「グッチ(GUCCI)」が4月15日15:00(伊現地時間)、Ariaコレクションを発表した。このコレクションが「グッチ」の100周年記念となることもあってか、この機会に同じケリンググループの「バレンシアガ(Balenciaga)」とのハッキング(コラボではなく、「ハッキング・ラボ」と呼んでいる)によるコレクションが発表された。このコレクションについてアレッサンドロ・ミケーレは「すべての起源となる時間をさかのぼることは、私にとって重大な責任であり、歓びにあふれた特権」でもあるが、「グッチの長い歴史は、創設という一度きりの行いに収まりきるものではなく、他のあらゆる存在と同様に、その運命は終わりなき誕生と絶え間ない再生の連続によっていつまでも刻まれていく」ものだと言う。そして「自らを生み出した母なる存在にオマージュを捧げること、そして同時に他者となることを歓び尊重することを意味する」と考える。そして「このコレクションは、デムナ・ヴァザリアの厳格な反逆精神と、トム・フォードのセクシャルな緊張感を奪い取った」という。

by Jon Bronxl, Cosimo Sereni and Vanessa Charlot

 舞台は「Savoy Club」という架空のクラブ(その名は創業者グッチオ・グッチが働いていたロンドンの「サヴォイホテル」に由来するのだろう)。その廊下をランウェイに仕立て、その先にはコロナの前にショーが行われていたころのようなカメラマンの群れが。
そんなコレクションでまず目につくのは、「グッチ」のヘリテージへのオマージュ的要素。グッチが馬具を扱っていたという原点に戻った、乗馬をモチーフにしたディテール。ジョッパーズパンツやジョッキー帽、乗馬風ブーツ、アクセサリーとなっている馬にふるう鞭など。そして、「グッチ」のGGロゴをトータルで生かしたアイテムが、コート、マント、セットアップからブーツに至るまで沢山のアイテムとなって登場する。また「グッチ」のシンボルであるビットをあしらった太いベルトやバンブーバッグのディテールなど。


Courtesy of Gucci

 そして、同ブランドを立て直した伝説的デザイナーであるトム・フォードの時代のグラマラスなスタイルが、ファーストルックで登場する赤のビロードのスーツを始めとし、ダブルスーツやスリーピース、ブラトップなどの肌見せの要素、フェザーを使ったアイテムやジップ使いなどに現れる。そして、「バレンシアガ」およびヴァザリア的で構築的なマキシフォルムやアヴァンギャルドなスポーティテイストが加わる。例えばクリスタルのトップとコーディネートされたウインドブレーカーやロゴ入りレギンスなど。もちろん「バレンシアガ」とのハッキングは具体的、かつ大々的に登場し、多くのアイテムで見られるダブルロゴやブランド名入りのネックレス、または フローラ柄の上に「バレンシアガ」のロゴをあしらったアイテムや、「グッチ」のモノグラムパターンを配した「バレンシアガ」の「アワーグラス」バッグなどで展開される。


by Jon Bronxl, Cosimo Sereni and Vanessa Charlot

 フィナーレの舞台は、クラブを出ると広がる自然の世界。馬や孔雀、オウムなどと共存する世界で人々はキスしてハグする。そんな中、心臓フォルムのバッグが空中に投げ出されるところで映像は終わる。それは、100年築かれた輝かしい歴史を祝い、ブランドの新しい創造や発展を示唆するものであると同時に、パンデミックに苦しむ現状からの脱出への希望が重ねられているかのようだ。

by Jon Bronxl, Cosimo Sereni and Vanessa Charlot

文:田中美貴

 

■「グッチ」Ariaコレクションムービー

「グッチ」Ariaコレクション

「グッチ」公式サイト