繊維ニュース 編集部ブログ

2019 25 Sep

延岡は自然と一体化した企業城下町

 【東京本社】夏の終わりごろ、宮崎県延岡市を訪れた。目的は旭化成のベンベルグ工場の見学だが、同社が運転する水力発電所なども 併せて視察した。旭化成は生産で使用する電力も自社で賄っている。

 川の下流から上流へとさかのぼれば、ベンベルグの生産現場から電力の供給源までたどることができる。これまで経験したことがない工場見学ツアーだった。

 〝工場萌(も)え〟の筆者は、無機質で巨大な建造物が並んでいたり、工場内の空間でむき出しの金属製パイプが張り巡らされたりしている光景に気持ちが沸き立つ。工場見学とはこうした光景を存分に眺められるものだと思っていたが、今回のツアーでは自然と一体化した生産拠点を巡ることになり、新鮮な感覚で一連の施設を見て回った。

 途中、延岡の町を一望できる愛宕山に登った。旭化成の工場の煙突が地域のシンボルとしてそびえ、それを囲むように町が広がる。その町を横断するように五ヶ瀬川が流れ、町の背後には山々と海が望める。自然の恩恵を受けながら育んできた企業と人々の営みが、一度に見渡せるかのような景色にしばし見とれた。(強)