繊維ニュース 編集部ブログ
2019
05
Dec
「輪っか」集めに人だかり
【大阪本社】先月、奈良県大和高田市にある靴下メーカーが主催する「くつした祭り」に参加した。会場は自社の駐車場スペースを開放し、靴下製品だけでなく、地元のパン屋さんや靴・婦人服メーカーなども集結。毎年の恒例行事らしく、しかもセール価格で出品されていた。リピーターらしき人が朝早くから来ており、大勢の来場者でにぎわっていた。
そんな中、休憩スペースでくつろいでいると、隣で子供らが集まり始めた。高齢者の姿もある。気になってのぞいてみると、「輪っか」集めに精を出しているではないか。
輪っかは靴下製造の際につま先部分の縫い合わせ工程で発生する残材の通称で、普段は廃棄処分されている。
人だかりになっていたのは、この輪っかを無料で取り放題にしていたから。そばにはリメークした手編みの鍋敷きや帽子のサンプルと作り方のチラシが展示されていた。
メーカーの方に伺うと、手先を使う道具として認知症予防やリハビリ対策になり、老人ホームなどで重宝するそう。子供はブレスレットにしたり、ロープ状につないで縄跳びしたり、玩具にしてはしゃいでいた。
製造工程で発生する副産物が、こうして地元の人々にもなじみ深いものになっている。改めて奈良は靴下の里なのだと感心した。(和)