繊維ニュース 編集部ブログ
2019
18
Jul
「逃亡犯条例」で混乱続く香港
【上海支局】「逃亡犯条例」改正案に対する香港市民の抗議活動は、収束の兆しが見えない。55万人が参加した1日は、若者ら千人以上が、立法会(議会)を一時占拠する事態となった。
香港政府が同条例の改正に動いたきっかけは、台湾に旅行中の香港人カップルが起こした殺人事件だ。改正の狙いは、台湾など犯人引き渡し条約を結んでいない国・地域で香港人が殺人を犯し、香港に逃げた際、野放しになってしまう状況をなくすことで、中国本土への犯人引き渡しが本来の目的ではなかった可能性が高い。
ただ、中国本土への身柄引き渡しも認める内容だったことから、中国政府の“不当逮捕”を懸念する市民たちが抗議に立ち上がった。
香港政府が市民の理解を得られないまま改正を急いだ代償は大きい。福建省のアモイに親戚を持つ30代女性は、「父親は中国びいきで毎日CCTV(中国中央電視台)を見ているが、母親は反中国」、自身は中道派だった。ところが、今回は市民の声に耳を貸さない香港政府への憤りから、デモに初参加した。こうした失われた市民の信頼を取り戻すのは容易ではない。(祐)