繊維ニュース 編集部ブログ
職人技を持つ自動裁断機
【大阪本社】神戸市の海沿い、兵庫運河のほとりにある「神戸市モノづくり工場」内に開設したレクトラ・ジャパンの「カッティングラボ」完成披露会に出席した。
同社は世界的なCAD/CAM製造販売企業の日本法人で、フランスに本社がある。最近はモノ作りのデジタル化を提唱し、インダストリー4.0の実現に向けたソリューション提案に力を入れている。
カッティングラボに展示されていたのは、一枚裁ち自動裁断機の「ビルガ」。同社は採寸データから裁断実施まで複数ある工程を一元管理する“裁断プラットフォーム”を独自に構築しており、ビルガは生地の装てん、裁断、搬出といった工程を担う。
最近、オーダースーツの需要が伸びていると聞いていたので、こうしたデジタル技術の進歩がモノ作りに関連していると想像していたが、柄物の裁断がスピーディーだったのには正直驚いた。
通常、ストライプのような柄物を縫製する場合、継ぎ目が一直線になるよう柄合わせに配慮したパターンの裁断が必要になる。一昔前だと職人の手裁断に頼るしかなかった。生地のゆがみが発生する場合もあるし、修正を加えながら裁断するには、熟練の経験こそ実力を発揮する世界だったはずだ。
同社はカスタマイズ生産に膨大な時間を要していた段取りを自動化することで解消する。ビルガは生地を高性能スキャナーが読み込んで、ゆがみも認識。柔軟に自動裁断する。
この一連の作業を柄物でスムーズにこなしていたのだ。技術革新という言葉は「繊維ニュース」でも決まり文句のように使われているが、ここ数年のデジタル技術は、職人でなければこなせなかった領域を一気に狭めた感がある。
縫製現場のプロが見たらどんな感想が聞けるのだろうか。百聞は一見に如かず。カッティングラボを是非訪れて、自分の目で確かめてほしい。(和)