繊維ニュース 編集部ブログ
2019
22
Jan
肉の名前になった職業
【東京本社】解剖学関係の本を読んでいる。スポーツアパレルなどの商品説明で「人間工学を追求して云々」といった表現を頻繁に読んだり書いたりするのだが、人体についてろくに知らないことに気付いた。医者を目指すには遅過ぎるが、せめて知識を補強すべきと考えたのである。
骨、筋肉、神経。それぞれの仕組みと役割を、分かりやすく解説してくれる良書が多い。それにしても、おびたたしい数の専門用語。フィットネスジムに通うようになって鍛える部位の筋肉の名称はいくらか覚えたが、未知の肉の方がよほど多い。
そのうちの一つが「縫工筋」。大腿骨の筋肉で、股関節の屈曲・外転・外旋や膝関節の屈曲・内旋を行う。あぐらをかいて針を動かす縫工の姿勢からとられたという。工業用ミシンが普及する前、家内制手工業の時代に考案されたものだろう。当時はそれ程にポピュラーな職業だったといえる。
就労人口のうち、縫工でない職業の方が圧倒的に多いけれど、皆が縫工筋を備えているのは面白い。元号は変わっても、この名称は末永く残ってほしいものだ。(周)