繊維ニュース 編集部ブログ

2018 25 Sep

過剰品質は強み

 【中部・北陸支社】わが国の製品が他国と比べて過剰品質と言われるようになって久しい。日本人の本物志向やこだわりがそうさせているのだろう。特に繊維製品はかつて戦後、外貨獲得の主力品目だったことに加え、国内ではマーケットクレームを恐れて異常なまでにも使用品質が高度化した。

 こうした中、ウール原料や染料の高騰に苦慮する尾州産地では、リスクがあるもののウール・ポリエステル混のトップ糸使いが来秋冬物として増えている。チェックタイプは反染めでも2浴染めで可能なのだが、色の深みや堅ろう度に対する同産地のこだわりによる。

 さて、冒頭の過剰品質だが尾州産地は明治の中頃まではシルクと綿の生産地であった。和装商品にも強く、つい最近までウール着尺も扱っていたほどで、全ての素材を高品質で織れると言っても過言ではない。デザイン力ではどうしてもイタリアに劣るかもしれない。半面、仕上げ加工を含めた高品質なテキスタイルは十分な国際競争力を持つ。為替に関係なくぜひ、過剰なまでの品質を強みとして、世界に訴求してもらいたい。(聡)