桑原 ゆう
トロンボーンソロ作品初演
明日は、師匠の佐藤眞先生を囲んで、門下の兄弟子妹弟子の先生方とのコンサート。昨年に続き2度目です。前回は弦楽器を中心としたソロからカルテットの編成でしたが、今回は管楽器の編成です。私はトロンボーンソロの新曲を村田厚生さんに初演していただきます。
New Chamber Music 2015 vol.2 ~管楽器を中心に~

2015年12月11日(金) 開場18:30/開演18:45
於 杉並公会堂小ホール (〒168-0063 東京都杉並区和泉3-53-16)
料金 / 2,000円 (全席自由)
プログラム /
正門憲也: 遊戯第20番「4つのフルート」
赤石直哉: 残照~クラリネットとピアノのための~
柳川瑞季: Dessin #2
清水篤: Add/less~フルートとピアノのための(2015改訂初演)
佐藤眞: クラリネットとピアノのための「幻想曲」
桑原ゆう: ラットリング・ダークネス
佐藤昌弘: Danse Prelude
平川加恵: クラリネットとピアノのための小品
清水昭夫: Serenade for Saxophone and Piano
久行敏彦: 風の詩V~トランペットとピアノのための~
演奏 /
フルート: 秋元茉里、K.Quartet(秋山純子、井馬佐紀子、柳原聡美、渡部寿珠)
サックス: 田尻智大、中島諒
トランペット: 篠崎孝、多田将太郎、松木亜希
トロンボーン: 村田厚生
ピアノ: 秋山友貴、清水篤、佐藤昌弘、平川加恵、柳川瑞季
ご予約、お問い合わせ / 2014ncm@gmail.com、090-5307-7293 (代表: 赤石)
主催 / NEW CHAMBER MUSIC
共催 / 日本現代音楽協会
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村田厚生さんには、学生のころに日本音楽コンクールの本選で2度もお世話になりました。1度目は室内楽のアンサンブルで、2度目はオーボエとトロンボーンのダブルコンチェルトでソロを演奏してくださいました。それは、限られた時間と場所でプロの演奏家の皆さんとリハーサルをし、公の場での作品発表をして評価されるという、創作活動の一歩を踏み出そうとしている私にとっては洗礼のような経験で、とてもショックを受け、その時の悔しい気持ちがその後の大きな糧となりました。それからもたくさん自分にとって試練のような経験があり、これからもあるだろうと思うのですが、それをなんとか乗り越え、なんとか作曲を続けていられる理由のひとつには、素晴らしい演奏家の皆さんとの出会いがあります。そういう方たちになんとか恩返しをしたくて、そのためにはやはり曲を書いて、今はこんなことを考えていますと伝えることだと思うのですが、私はとても不器用で要領も悪く日常の作曲に追われてしまい、なかなかそれもうまくできずもどかしく思っています。でも今回この機会に、大好きなトロンボーンのソロの曲を書いて、ぜひ村田さんに弾いていただきたいと思いお願いしたところ、二つ返事で快く引き受けてくださいました。
この曲を構想するのと同時期に声明の為の大きな作品を書いていました。そのテキストに用いたのが、ネイティブ・アメリカンのナバホ族が砂絵の儀式に用いる「風の歌」「夜の歌」というチャントです。彼らの言語の意味や音を、彼らの感じたのとできる限り同じように体験したいと、他にもチャントや砂絵の儀式について調べているなかで「ラットリング・ダークネス」という言葉に出会いました。ラットリングとはガラガラヘビのガラガラの意味、つまり、ラットリング・ダークネスは
ラガラの闇という意味です。日本の湿度の高い冷たい夜とちがう、ニュー・メキシコあたりの乾燥したエンプティな夜。その闇に漂うチャントの声を思い出すように思い浮かべ、それをトロンボーンの音で翻訳するような作曲を試みました。具体的には、トロンボーンの高音のコントロールのあまり効かない音域を主に用い、F菅のエコー効果を多用しています。

今回もかなりギリギリの作曲になってしまって、村田さんには多大なご迷惑をおかけしてしまいました{汗} 私はどうしても、まず作品として完成させてみないと自分がその曲の中で何をしたいかが自分自身で把握できないようで... リハーサルをしながら村田さんに細かくチェックしていただき、改良もしました。色々と教えていただいて、もっと要素の展開をやり尽くせると思うし、まだやりたいことが形になっていない部分もあるので、また改訂したいと思っています。村田さんからパワーをいただき、とても前向きな気持ちです!でもひとまず、明日、初演していただきます。本当にありがとうございます。とても楽しみです!
よかったらぜひ聴きにいらしてください!まだ手元にチケットがあります。どうぞよろしくお願い致します。