桑原 ゆう

2017 27 Apr

久しぶりに自作の指揮をします

明日、クラリネット奏者のThomas Piercy氏による "Tokyo to New York" で、委嘱をいただいた新作の初演があります。Tomが一緒に演奏したいひとを集めたという、クラリネット、2人の尺八奏者、ヴィブラフォン、マンドリン、太棹三味線による、和洋折衷のかなり珍しい六重奏で《まだらの陀羅尼》という作品です。しかも、ひょんなことから、私自身で指揮をすることになりました。学生のときの旧奏楽堂での木曜コンサート以来、久しぶりの自作の指揮で、私が1番足を引っ張っているという気がしないでもないですが、自作を客観視できる貴重な勉強の機会になり、一緒に演奏してくださるみなさんには感謝の気持ちでいっぱいです。よかったらぜひ聴いてください!

 

以下、プログラムノートです↓

《まだらの陀羅尼》は、昨年ニューヨークでEnsemble Mise-enにより初演された《陀羅尼のまにまに》、本條秀慈郎くんとクレア・チェイスさんのデュオにより初演された《風の陀羅尼》に続く「陀羅尼シリーズ」の新作です。陀羅尼シリーズは、法華経の陀羅尼品第二十六に出てくる「あに、まに、まね、ままね…」という呪文の言葉をベースにした作品群です。陀羅尼品の呪文の言葉は、神々の名、もしくは、その異称の呼びかけの羅列によるもので、非常に強い力を持つそうですが、口に出してみた時の音やリズムそのものがとても面白いのです。その面白さの所以はなんだろうか、音の並びから何か規則性を見出せないか、などと考えながら、ああでもないこうでもないと手を動かし、呪文の言葉を音楽に結びつけようとしています。陀羅尼というと瞑想的なイメージが一般的かもしれませんが、この陀羅尼シリーズは、そういったイメージよりも、日蓮宗で木証とともに陀羅尼品が唱えられるときのすさまじい勢いや、唱える身体と唱えられる言葉とが完全に一致した状態から放たれる、スパークするようなエネルギーを音楽にしたいと試みています。今回は、洋楽器と邦楽器の折衷アンサンブルの様々な要素において、どのようにバランスをとるかに考えをめぐらせながら、近江楽堂の響きも念頭に置きつつ、陀羅尼のエネルギーを持つような音楽を作ることを目指しました。

 

 

 

TOKYO TO NEWYORK 2017

 

@近江楽堂 (東京都新宿区西新宿3丁目20-2 3F)

開演 19:00 / 開場 18:30

演奏 / トーマス・ピアシー (クラリネット)、クリストファー遙盟 (尺八)、黒田鈴尊 (尺八)、鶴澤三寿々 (太棹三味線)、望月豪 (マンドリン)、有賀誠門 (ヴィブラフォン)

チケット料金 / 一般: 4,000円、学生: 2,000円

http://www.toshigakushi.com/tokyo_newyork.html