桑原 ゆう

2019 30 Sep

6Aug2019_リコーダー二重奏、響きの軌跡

桑原 ゆう: 四つの遊び
第一の遊び「いたちごっこ」
第ニの遊び「揺らぎと歪み」
第三の遊び「合わせ鏡」
第四の遊び「パウル・クレーの波線」

 昨年、リコーダーアンサンブル「ラ・ルベルティーナ」のために作曲した《三十三の月》は、ポルタメントやグリッサンドの「すべる」音にフォーカスした作品だった。今作は、みずからのリコーダーの書法のパレットをもっと豊かにしたいとの想いで、リコーダーならではのさまざまな奏法の海のなかを自由に泳ぎ、遊ぶようなつもりで作曲することにした。《四つの遊び》は、タイトルの通り四つの小品から成る。一緒に初演される、ルカ・マッキ氏の作品のタイトルが『戦い』であることを前もって知っていたので、それもふまえ、対になるよう「遊び」と名付けた。曲ごとのタイトルは作曲後に付けられた。1曲目《いたちごっこ》は、素早い動きの応酬による作品。2曲目《揺らぎと歪み》は、音の振動を様々な倍率のレンズを通して視るような作品で、初演の会場である近江楽堂の渦を巻くような響きを念頭に置き作曲した。3曲目《合わせ鏡》では、ふたりの奏者を鏡で隔つようなイメージを持っている。一方は現実世界の実物、もう一方を鏡の向こうに見える虚像と見立て、その時々で立場が入れ替わるように作曲した。4曲目《パウル・クレーの波線》は、ふたりでくねくねとした線を描いていくように演奏される。2、3曲目が少し長めで、全4曲の主体となり、1、4曲目はそれらを縁取るように配置されている。本日は1、2曲目の世界初演となる。

リコーダー二重奏、響きの軌跡

T. モーリー(1557-1602)カンツォネッタ集より
G. Ph. テレマン(1681-1767)二重奏 ハ短調
P. D. フィリドール(1681-1751)組曲作品2の8 イ短調
G. サンマルティーニ(1695-1750)ソナタ第2番 ト短調
L. マッキ(1965-)戦い
(委嘱新作・初演)
桑原 ゆう(1984-)《四つの遊び》より 1. いたちごっこ、2. 揺らぎと歪み(委嘱新作・初演)

2019年8月6日
@
近江楽堂 (東京都新宿区西新宿3丁目20-2 東京オペラシティタワー3F)
演奏 | 田中せい子、ダニエレ・ブラジェッティ (リコーダー)
チケット料金 | 一般: 3,500円、学生: 2,000円 (全席自由)

stanaka8.wixsite.com/studio-fontegara/information